Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪
今回は「ライオン・ガード」のシーズン1第6話「キアラじょおう」より、品詞が異なるthoughtをそれぞれ使っているムズィンゴとキアラの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】ムズィンゴの誘惑…キアラのプライド…
今回取り上げる台詞はこちらの2つ。
Janja’s not exactly welcome in the Pride Lands.
ジャンジャはここではあまり歓迎されないもので。
He thought you might meet on neutral ground.
静かに話せる場所で会いたい、と。
ライオン・ガード シーズン1第6話 キアラじょおう 00:15:18~
You just can’t stand the thought that I might be right. Like with the bees.
私がハチのときみたいに正しい判断をするのが、気に入らないだけでしょ。
ライオン・ガード シーズン1第6話 キアラじょおう 00:15:53~
1つ目の台詞は、前回の記事でも紹介したハゲワシのムズィンゴのもの。
〝ハイエナのリーダーであるジャンジャが、女王と平和のための話し合いをしたがっている〟と、キアラをハイエナたちのもとへおびき出そうとする中での台詞です。
ごちそうや遊びといったわかりやすい誘惑を提示するのではなく、〝女王としてプライド・ランドをより良くしていかなければ!〟というキアラの真面目さや正義感につけ込んでくるあたりが腹立たしいですね…!
2つ目の台詞の主はキアラ。
王国のより良い未来を望む気持ちと&いつも自分に反発してくるカイオンへの対抗心を胸に、ジャンジャとの話し合いに行くことを決意したキアラ。
しかしカイオンに〝ジャンジャは信用できない相手だ〟と引き止められ、彼女はカッとなって過去のライオン・ガードの失敗(こちらも前回の記事参照)を引き合いに出して反論する、というわけです。
こうしてジャンジャたちにまんまとおびき出されてしまったキアラが一体どうなってしまうのかは、Disney+で実際に本編を見てご確認ください♪
さて、この2つの台詞にはある共通点があります。
それはthoughtという単語が使われているということ!
どちらも綴りは同じなのですが、文章中で果たしている役割はまったく異なります。
今回の記事では、このthoughtにスポットを当てて、品詞の見分け方や意味の違いなどを確認していきたいと思います!
【ムズィンゴの場合】動詞の過去形のthought
thoughtを辞書で引くとどの辞書でも大抵2つの見出しがあります。
ひとつは動詞の「thinkの過去・過去分詞形」、そしてもうひとつは名詞の「考え」です。
動詞は文章の述語になることはできても、それ単体で目的語や補語になることはできません。
逆に、名詞は目的語や補語になることはできても、どうあがいても文の述語にはなれません。
ということで、繰り返しになりますが、見た目が同じ&意味のベースも同じでも、品詞が異なれば文中での役目がまったく異なるのです!
ここが英語を文法的に理解する上でとても重要なのです!
それでは実際に、ムズィンゴの台詞とキアラの台詞は、それぞれどちらの品詞なのかを考えてみましょう!
まずはムズィンゴの台詞から。
He thought you might meet on neutral ground.
このthoughtは動詞なのか、それとも名詞なのか…
名詞だとしたら、aもtheもついておらず、複数形でもない、原形のままの名詞ということになりますね。
もちろんそういう使い方も有り得ますが、この文ではthoughtの前にheがあります。
heは主格、簡単に言うと〝主語専用〟の形をしている代名詞です。
主語になる代名詞のすぐ後ろに、冠詞もついてなければ前置詞もついていない名詞が来る…
なんだか気持ち悪い! なんだか不自然!となっちゃいますね。
しかもどう訳せばいいのか見当がつきません。
ではthoughtをthinkの過去形として解釈するとどうでしょう?
He thoughtまでで〝彼は考えた〟と訳すと… うんうん、こちらは自然ですね!
さらにthoughtの後ろにはyou might meet on neutral groundという、きちんと主語と述語のある完成された文が続いています。
これは動詞thinkを使った文章では非常によくあるパターン!
I think (that) he is a teacher.
彼は教師だと私は思う。
…なんて文を学生時代にテストで見た記憶があるかたも多いのではないでしょうか?
子のムズィンゴの台詞も、単語数が多くてややこしく見えるだけで、文章の構造はまったく同じ。
本来だったら
He thought that you might meet on neutral ground.
というように、thoughtと文の間に「(…する)ということ」という意味の接続詞のthatが置かれていたのでしょうが、それが省略されて、
He thought that you might meet on neutral ground.
という文章になっていると考えられます。
以上を踏まえて、thought=thinkをこの台詞を直訳すると、
〝彼(=ハイエナのジャンジャ)は、あなた(=キアラ)が中立的な場所でなら会ってくれるかもしれない、ということを考えたのです。〟
となります。
文法的にも問題なし、自然な解釈も可能、となると、この台詞のthoughtは動詞(thinkの過去形)と考えて大正解!ですね。
・thoughtの意味①…think(…と思う)の過去形・過去分詞
・上記の意味の場合のthoughtの品詞は動詞で、主に文の述語として使われる
※過去分詞の場合は述語以外の用途で使われることもありますが… thoughtの場合ではかなり稀な例だと思うので、ここでは割愛しますね!
【キアラの場合】名詞のthought
続いてキアラの台詞の中に使われているthoughtの品詞をチェック!
こちらは先ほどのムズィンゴの台詞よりも、thoughtの見分け方が簡単かも。
なぜなら…
You just can’t stand the thought that I might be right.
先ほどの台詞では〝このthoughtに冠詞(aまたはthe)がついていないから、名詞の可能性は低いな…〟という考え方をしましたが、今回はそれとはまったく逆。
thoughtに冠詞the がついているから、このthoughtは動詞thinkの過去形ではなく「考え」という意味の名詞と考えてよさそう!と考えることができるのです。
さらに文法的に説明を進めると…
thoughtの後ろにいるthatは関係代名詞のthatで、that以下に書かれている内容がthoughtの中身を説明しています。
つまり〝I might be rightという考え〟と訳すわけです。
そしてもうひとつ注目したいのがstand。
standの意味で最もメジャーなのは「立っている」「立ち上がる」という意味ですが、この文のようにcan’tとセットで使われているときは「…に耐えられない」という意味があります。
何に耐えられないのか、その目的語となるのが先ほど訳した〝I might be rightという考え〟というわけです。
ここまでの解説を踏まえて台詞を直訳すると、
あなた(=カイオン)は、私が正しいかもしれないという考えに耐えられないだけだ。
となります。
〝カイオンはエランドの誘導に失敗したことが悔しかったから、私がジャンジャとの話し合いでプライド・ランドに平和をもたらす手柄を立てるのを阻止しようしているのね〟
とキアラは思い込んでいるわけですね。
もちろんカイオンは、ジャンジャやムズィンゴは信用できない!と本気で思っているからこそ、キアラに忠告しているのですが…
嗚呼、すれ違い…!
・thoughtの意味②…考え
・上記の意味の場合のthoughtの品詞は名詞で、
文の主語や動詞や前置詞の目的語、補語として使われる
このthoughtと同じように〝綴りは同じだけど、品詞の異なる複数の意味を持つ〟、そんな単語が英語にはしばしばあります。
そんなときに、今回ムズィンゴ&キアラの台詞を使って行なったように、文の構造や周りの単語を手掛かりにして正しい品詞を突きとめる作業が、英文を理解する上でとても大切になってきます。
この単語の品詞は名詞? 動詞? 形容詞?
…簡単な英文を読むときでも、そんなことをちょっと意識するだけで、品詞を見分ける力がアップ=英文読解力がアップしますので、どんどん〝文中の単語の品詞を考える〟ことに慣れ親しんでいってくださいね♪
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