Momiji が現在読んでいる最中のディズニー公式“以外”の洋書を紹介します。
こちらの記事では“ザ・マペッツ”シリーズを中心に活躍した人形使い、リチャード・ハントの伝記本 Funny Boy: Richard Hunt Biography の第1章~第5章を読んだ感想をまとめています。
Funny Boy: Richard Hunt Biography がどんな本なのかについて、まずはこちらの記事を読んでいただくことをオススメします!
1 Jersey Boy ~感受性豊かな幼少期~
伝記本ということで、まずはリチャード・ハントの幼少期から話がスタート。
子ども時代の大半をニュージャージー州で過ごしたということで、章のタイトルも Jersey Boy です。
第1章を読んでみて強く感じたのは、リチャードはエンターテインメントや芸術文化に対して物凄く理解のあるご両親のもとで育ったということ!
特に印象的だったのが、4歳頃のリチャードがバレエの「くるみ割り人形」に連れて行ってもらったその夜のエピソード(まずそんな子どもの頃からバレエ鑑賞に連れて行ってもらえるところがすごい! ご両親のセンスを感じます)。
リチャードが子ども部屋で泣いていることに気づいた両親が何事かと尋ねてみると、なんとその理由は、“昼間に見たきれいなバレエを思い出して感極まっていたから”だったそうです。
なんて感受性豊かな子どもなんでしょう…!
とはいえ、幼少期は決して楽しい思い出ばかりではなく、いじめに遭っていた時期もあったのだとか…
でものちに彼は「マペット・ショー」で共演していた仲間の人形使いたちにも同様の経験をしているメンバーが多くいることを知ったそうです。
このあたりが変わり者のキャラクターたちが活躍するマペット作品の作風の原点なのかもしれませんね。
また、この章ではリチャードのご両親の生い立ちについてもかなり詳しく触れられています。
どの地域の出身かという情報はもちろんのこと、キリスト教の中のどの宗派を信仰していたかといった情報もカバーされているのが、信仰する宗教と日常生活が密接に結びついている人が多い国ならではだなと感じました。
2 Making a Career ~エンターテイナーの卵~
第2章で描かれるのはリチャード・ハントの高校生時代。
この時点ですでにエンターテイナーの素質はじゅうぶんで、学校ではコーラスや演劇に積極的に挑戦し、近所の子どもの誕生日パーティーで人形劇を披露してお小遣い稼ぎもしていたようです。
まさに章のタイトルの Making a Career の通り、このときからエンターテイナーとしての将来を見越して様々な活動をしていたんですね!
特に、チームでひとつの作品を作り上げるコーラスや演劇の経験は、同じくチームワークが大切な「セサミストリート」や「マペット・ショー」などの人形劇番組の仕事でも大いに生かされたのだろうと、この伝記の作者さんは推測しています。
また、この頃リチャードが友達とよく聴いていたお気に入りのレコードが、ビートルズの Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band なのだそう。
実はこのアルバム、マペット作品とも縁が深いアルバムで…
「マペット・ショー」などに登場するベーシストのフロイド・ペッパーは、まさにこのアルバムがその名前や衣装の元ネタになっているキャラクター。
リチャードはのちにフロイドの恋人のジャニスを演じることになるので、なんだか不思議なご縁ですね♪
3 Apprentice ~見習い人形使い~
apprentice とは「見習い工」「徒弟」という意味。
ということで第3章では、当時「セサミストリート」で成功を収めたばかりのジム・ヘンソンのもとに飛び込んで、見習い人形使いとしてキャリアをスタートさせた若きリチャードの奮闘が描かれます。
すぐに「セサミ」のレギュラー出演者になれるわけではなく、まずは既存番組のゲスト出演や特別番組といった単発の仕事で少しずつ経験を積んでいたリチャード。
その中でも The Ed Sullivan Show 出演時の映像は、なんと番組の YouTube 公式チャンネルで今でも手軽に鑑賞できます♪
(おそらく左端のバイオリニストがリチャードが演じているキャラクターです)
また、この章では、フランク・オズ(代表キャラクターは「セサミストリート」のクッキーモンスター、「マペット・ショー」のミス・ピギー、そして『スター・ウォーズ』シリーズのヨーダなど)やジェリー・ネルソン(代表キャラクターは「セサミストリート」のカウント伯爵、「フラグルロック」のゴーボーなど)といった、リチャードの先輩にあたる有名人形使いたちの経歴にも簡単に触れられています。
火炎放射器を搭載した着ぐるみ型マペットを操演したり、無人のオフィスで悪ノリしていたりと、こちらも面白いエピソード揃い!
いずれ他の人形使いの伝記も出版されてほしいものですね…!
4 Sunny Days ~セサミストリートへようこそ!~
第4章のタイトルは、「セサミストリート」のあの有名なオープニングソングの歌い出しの歌詞が元ネタ。
ということで、下積み期間を経て、リチャードがようやく「セサミストリート」レギュラー出演者に昇格しました!!!
初めてもらった自分の持ち役は工事現場で働くサリーというキャラクター。
“大人の事情”で台詞を喋れないという制約を逆手に取り(台詞の有無で番組がリチャードに払うギャラの額が変わってしまうのだそうです…)、リチャードはサリーを“喋らないからこそ面白い”人気キャラへと成長させました。
百聞は一見に如かずなので、ここは実際の番組の映像でその面白さを感じていただきましょう!
おしゃべりな相棒のビフとの絶妙なコンビネーションをお楽しみください♡
さらにこの章では、この本のタイトルである funny boy の意味も判明!
リチャードは晩年のインタビューで自分はゲイであると語っていたのですが、「セサミ」のレギュラーになったばかりの若い頃の彼は、自らを“同性愛者”や“ゲイ”という明確な用語で表現することをあまり好んではいませんでした。
その代わりに使っていたのが funny boy という言葉。
funny には「面白い」という意味と同時に、俗語表現として“同性愛者の”という意味もあるのだそうです。
人形劇でみんなを笑わせる面白い人物であると同時に、同性愛者でもある…
まさにリチャードを表すのにぴったりの言葉ですね。
5 Camaraderie ~目指せゴールデンタイム~
第5章のタイトルの camaraderie は「友情」や「友愛」という意味。
「セサミストリート」を一緒に作り上げていく中で友情を育んだ人形使いたちが次に目指したのは、子どもだけでなく全世代の視聴者を対象にしたゴールデンタイムの人形劇バラエティ番組を作ることでした!
そう、そのバラエティ番組こそが、のちの「マペット・ショー」です。
しかし、「マペット・ショー」のレギュラー放送開始はとんとん拍子で決まったというわけではなく、そこに至るまでには多くの苦労や試行錯誤がありました。
中でも有名なのは、アメリカの人気深夜番組「サタデー・ナイト・ライブ」の放送開始当初に、マペットも番組内のコーナーのひとつを担当していたというエピソード。
過激で下品な内容が売りの「サタデー・ナイト・ライブ」のために、ジム・ヘンソンたちもそれに合わせた演目を用意していたのですが、その内容が、ちょっとここには書けないレベルで際どくて…!!!
ホント、“ちょっとエッジが効いているけど、大人も子どももみんなが楽しめる”という今の芸風に落ち着いてくれて良かったと心から思いますw
また、この章では当時のリチャードの恋愛事情や家族との関係といったプライベートについても様々なエピソードが紹介されていました。
お父さんの健康状態が思わしくなく、自分が仕事で成功して家族を支えなければならないというプレッシャー…
そして、仕事で成功するにあたって、自分のセクシュアリティが足枷になるのではという懸念…
リチャードのそんな複雑な葛藤も印象に残ったポイントのひとつです。
以上、リチャード・ハントの伝記本 Funny Boy: Richard Hunt Biography の第1章~第5章の感想をお届けしました。
私の大好きなキャラクターたちに命を吹き込んでくれたリチャードの人生を、少しでも知っていただくきっかけになれば嬉しいです。
それでは、次回の第6章~第10章編もどうぞお楽しみに!


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