Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪
今回は『リトル・マーメイド』より、学校の授業でも必ず登場する定番フレーズ had better to が登場するメイドのカーロッタの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】キッチンから不穏な気配…?
今回取り上げる台詞はこちら。
I think I’d better go see what Louis is up to.
リトル・マーメイド 00:54:32~
『リトル・マーメイド』の物語も、いよいよ後半戦にさしかかってきました。
このあたりの場面では、アースラとの契約のせいでアリエルの台詞を取り上げることができないのが少々寂しいところ…
しかしその一方で、エリック王子をはじめ、執事のグリムズビーやシェフのルイなど、人間キャラの出番も増えてくるので、これはこれで、いろんなキャラクターの台詞に触れることができて楽いですね♪
そんな中で今回はエリックのお城に仕えるメイドさん・カーロッタの台詞をピックアップ!
それほど目立つキャラクターではありませんが、保護されたばかりのアリエルを甲斐甲斐しくお世話してくれる、とても親切な女性です♡
そんな彼女がアリエルやエリック、グリムズビーとダイニングルームにいたところ、ルイが料理をしているキッチンから何やら騒がしい物音が…!
その場面でのカーロッタのひとことを、今回は読み解いていきたいと思います。
【今回の注目ポイント!】覚えておいて損はなし! had better do
I think I’d better go see what Louis is up to.
この台詞で注目したいポイントは、なんといっても、 had better do !
学校の英語の授業やテストでも高確率で登場する定番の表現ですので、どこかで聞いたことがあるかも…?というかたも多いのではないでしょうか。
had better do の意味
had better do は、ジャンルとしてはイディオムに分類されるもの。
たいていどの辞書でも、 better の項目を見ると、このイディオムも載っています。
そしてその意味は、「…すべきである」「…した方がよい」。
たとえば次のようなシチュエーションで使われます。
【見るからに疲れている様子の同僚に…】
You had better take a rest. (あなた、休憩をとったほうがいいよ。)
【友達と遊んでいて夜遅くなってしまったときに…】
I had better go home. (私は家に帰ったほうがよい。=そろそろ家に帰らないと。)
自分以外の人(you)が主語の文と自分(I)が主語の文の2パターンを用意しましたが、日常生活の中で使用頻度が高いのは、圧倒的に後者の〝自分が主語の文〟のパターンです。
(〝自分以外の人が主語の文〟のパターンだと、どうしても上から目線な雰囲気が出てしまうので…)
グループでのおしゃべりが盛り上がっているけど、次の予定もあるし、そろそろお暇しないと…
そんなシチュエーションで役に立つのが、この had better do なのです。
ちなみに、このイディオムを覚えるときには、had better の後に続く動詞は原形だという点に注意です!
他のイディオムと記憶がごちゃ混ぜになって、ついつい -ing を付けたり to 不定詞にしたりしてしまいがちなので…
(Momoiji も学生時代よくやりました…笑)
主語と had が合体…?
と、ここで今回のお題であるカーロッタの台詞を見返したときに、〝あれ…?〟と疑問を抱いたかたもいるかもしれません。
〝better はたしかにあるし、その後ろに動詞の原形の go もある… だけど…?〟
I think I’d better go see what Louis is up to.
〝had better do の話をしていたはずなのに、 had がどこにも見当たらないじゃないか!〟
…おっしゃるとおり。
この文のどこに had があるのかというと…
実は、ここです、ここ!↓
I think I’d better go see what Louis is up to.
実は、主語である I と had が合体して I’d という一つの語になっているんです!
had better do が実際の会話で使われるときには、had が主語と合体して一つの語になる場合がよくあります。
特に I had と you had は、 I’d ・ you’d と略されることが多いので、隠れた had を見逃さないように、よ~く気をつけてくださいね!
・had better do は「…すべきである」「…した方がよい」という意味
・I’d 、 you’d など、主語と had が省略されて一語になることも多いので、
見逃さないように注意
【読解 tips】イディオムからも漂う嫌な予感…!?
次にその他のこまごまとした文法や単語をチェックしていきましょう!
I ①think I’d better ②go see ④what Louis is ③up to.
①【文法】省略された接続詞の that
〝私は~だと思う。〟と言いたいときに使う定番の構文といえば、〝I think + that 節.〟 という接続詞の that を使った文。
たとえばこんなふうに使います。
I think that Frozen is the best Disney movie. (私は『アナと雪の女王』が最高のディズニー映画だと思う。)
そしてこの接続詞の that は省略が可能というのが大きな特徴!
つまり、先ほどの例文を下記のように言っても、文法的には何も間違っていないのです。
I think Frozen is the best Disney movie. (私は『アナと雪の女王』が最高のディズニー映画だと思う。)
特に会話の中では省略されることの多いこの接続詞の that。
今回のカーロッタの台詞も、think の後に主語(I)と述語(had better go)が揃った完全な文が続いているので、think と文の間に接続詞の that が省略されていると考えてよいでしょう!
②【省略】go and do の and の省略
英文法の勉強にしっかり取り組んでいる人は、この台詞の go see の部分を見て違和感をおぼえたかもしれません。
〝動詞の原形 (go) の後ろに、さらに動詞の原形 (see) が来るなんて、そんなことありえるの!?〟
…たしかに、普通ではありえないことです。
しかし go を辞書でよ~く調べてみると… ちゃんと根拠がありました!
go and do で「…をしに行く」という使い方が辞書に載っているのですが、アメリカ英語では略式表現として and が省略される場合があると説明されているのです!
とはいえ、あくまで略式表現なので、我々は and を省略せずに go and see と言ったほうが無難でしょうね…!
③【イディオム】 up to … 〈通例よくないこと〉をして、しようとして
台詞の登場順が前後しますが、説明のしやすさの観点から、先に up to の意味を確認したいと思います!
up to を辞書で引くと、「…まで」「…に匹敵して」など、かなりたくさんの意味が出てくるのですが、今回の文脈に最もしっくりくるのは「〈通例よくないこと〉をして、しようとして」です。
この〈通例よくないこと〉というネガティブな意味を含んでいるのがポイントで、例えば次のような文で使うことができます。
Ursula is up to something. (アースラは何かを企んでいる。)
…ヴィランの説明をするときに大変役に立つイディオムですね!笑
今回の台詞では、主語がアースラではなくシェフ・ルイなわけですが…
こうしてキッチンから騒々しい物音が聞こえてきたということは、何かよからぬことが起きているはず…
このイディオムひとつとっても、カーロッタが何か嫌な予感を感じていることが伝わってきます。
④【文法】疑問詞の what
see の目的語の位置にいるのが what Louis is up to という what から始まる一節。
what は疑問詞としても関係代名詞としても使える単語。
疑問詞であれば〝ルイは何をしているのか〟、関係代名詞であれば〝ルイがしていること〟と訳します。
文法的にはどちらの訳の可能性もありえますが、ここは文脈や状況から判断するのがベター。
おそらくこの台詞を言ったときのカーロッタは、キッチンで何が起きているかわからないからこそ、自分の目で確認しに行かなくては!と思ったはず。
となると、〝ルイがしていることを見に行く〟というよりも〝ルイが何をしているのか見に行く〟と訳したほうがしっくりきますよね!
ときにはディズニーオタクらしく想像力をフルに活用するのも、正しい訳を導くひとつの手段です!笑
【和訳に挑戦!】様子を見に行ってきます!
それでは仕上げに、ここまでの内容を総まとめ!
今回のカーロッタの台詞の日本語訳を考えてみましょう♪
I think I’d better go see what Louis is up to.
まず I think (that) の部分は〝私は~だと思う〟でしたよね。
では、カーロッタは何を思っているのか?
had better do は「…すべきである」「…した方がよい」でしたので、〝私は、自分は~したほうがよいと思う〟という文になります。
そして、何をしたほうがよいと思っているのかというと、 go see what Louis is up to 、すなわち〝ルイが何をしているのか見に行く〟ほうがよいと思っているわけです。
…これらの要素をひとつの文にまとめると、こんな直訳になります。
〝私は、自分はルイが何をしているのか見に行ったほうがよいと思います。〟
もちろん、このままでは堅苦しい文なので、もっと普通の話し言葉に近い表現にすると、
〝ルイが何をしているのか見に行ったほうがよさそうね。〟
という感じでしょうか?
ちなみに日本語吹替版の訳は次のようになっています。
I think I’d better go see what Louis is up to.
シェフのルイは一体何をしてるんでしょう。
ルイが何をやらかしたのかカーロッタが不思議に思っている、という部分を強調した日本語訳になっているのが面白いですね!
ただし〝様子を見に行かないと〟という部分の意味までは日本語吹替の訳はカバーしていないので、これは原語の台詞を注意深く観察した人だけが気づけるポイントだと言えます♪
ちなみにこの台詞の後には、セバスチャンとのバトルでキッチンをしっちゃかめっちゃかにしたルイにカーロッタが雷を落とす場面が待っています 笑
あれほどセバスチャン相手に暴走していたルイが一気にしゅんとおとなしくなるところから察するに、彼、割としょっちゅうカーロッタに怒られているのかも…!?
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