Momiji が実際に Disney+ の作品を使って勉強する中で、英語的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った場面を、解説とともにご紹介♪
今回は『塔の上のラプンツェル』より、フックハンドの名台詞から動詞 live について深掘りします。
怖い見た目に優しい心♡愛すべきならず者たち
前回の記事に引き続き、〝かわいいアヒルの子〟での場面をさらに掘り下げていきましょう!
最初は怯えていたラプンツェルですが、〝空飛ぶ灯りを見たい〟という彼女のまっすぐな想いが、ならず者たちの夢みる心を呼び覚まします。
こうしてラプンツェルとならず者たちはすっかり打ち解けて仲良しに♡
その過程が描かれる「誰にでも夢はある」は、『塔の上のラプンツェル』の中でも最もミュージカル的に盛り上がる場面と言ってよいでしょう!
今回の記事で注目したいのは、この曲の冒頭でピアニストになりたいと歌っているフックハンドさん。
片〝手〟が〝かぎ爪〟だからフックハンド…
なんて覚えやすいお名前!
歌の中でもピアノの才能を活かして大活躍ですが、その後にもなかなかカッコいい見せ場があるんですよ~。
フックハンドの台詞の〝動詞〟に注目!
それはミュージカルシーンの直後、衛兵たちが〝かわいいアヒルの子〟にやってくる場面。
もしここでフリンが逮捕されると、ラプンツェルは灯りを見に行くための案内役を失ってしいます。
大ピンチ!
そこに助け船を出してくれたのが、このフックハンド!
ふたりを店内の隠し扉から外に逃げるよう案内してくれます。
そのときに彼が言う台詞がこちら。
Go. Live your dream.
塔の上のラプンツェル 00:42:57~
行け。夢を追いかけろ。
ぎゃー!!!なんてかっこいい!!!
とっさにこの素敵なひと言をラプンツェルに贈ることができる機転とセンスの良さよ!
この時点ではフリンよりも断然かっこいい役回りなのでは?とすら思ってしまいますw
そして、そのかっこよさに加えてもう一つ気になる点が。
それはこの「夢を追いかけろ。」という文の動詞として使われている単語です。
〝追いかける〟という日本語を英語に訳すとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは follow という動詞だと思います。
中学校で習うレベルの単語ですし、実際〝夢を追いかける〟という意味で follow one’s dream という表現もよく使われます。
しかし実際に原語版の台詞で使われている動詞は live 。
「住む」「生きる」といった意味でよく使われる、これまた英語学習の初期で多くの人が習う単語ですね。
この live という動詞のチョイス、英語の勉強をしっかりしている人、特に英文法の勉強をしている人ほど、一瞬違和感をおぼえると思います
というのも live は自動詞として使われることが非常に多い動詞だからです!
自動詞・他動詞って何?
このブログでもときどき登場する〝自動詞〟、〝他動詞〟という文法用語。
改めてその定義を確認しましょう!
そもそも動詞とは人や物の動作や状態などを表す単語。
walk 「歩く」や eat 「Oを食べる」といった単語はまさにその典型ですね。
そして動詞はさらに大きく2つの種類に分かれます。
どういう基準で分けるのかというと、その動詞を使って文を作るとき、動作の対象となるもの=目的語をとるのかとらないのか?が判断基準となります。
目的語をとらないものを自動詞、目的語をとるものを他動詞と呼ぶのです。
…ちょっとお堅い説明でしたが、なんとな~くイメージできたでしょうか?
あえてもっと乱暴な定義をすると、動詞のすぐ後に名詞が置かれていない場合、その動詞が自動詞、動詞のすぐ後に名詞が置かれている場合、その動詞が他動詞、と考えることもできるといえばできます。
(ただし、これ、本当に乱暴な定義なので、これを丸暗記することはオススメしません!)
例えば、walk を使った文を見てみると…
I walk in the park. (私は公園で歩く。)
walk の後ろには in the park というフレーズが置かれています。
〝park は名詞なのでは?〟と思うかもしれませんが、その前に in という前置詞が付くことで、in the park 全体で副詞の役割になってしまいます。
英文法のルール上、 副詞は目的語にはなれないので、この walk は目的語をとっていない、すなわちこの walk は自動詞である!と判断できるわけです。
では eat を使ったこちらの文はどうでしょう?
I eat an apple. (私はリンゴを食べる。)
eat のすぐ後ろ置かれているのは an apple 。
これはどう見ても名詞で、 目的語の役割をしっかりと果たしています。
なのでこの eat は他動詞と判断できる、ということになります。
自動詞としてしか使われない動詞、他動詞としてしか使われない動詞というものもありますが、自動詞としても他動詞としても使える動詞もたくさん存在します。
中には他動詞と自動詞で意味が違う場合もあるので、辞書を引くときには、文の中でその単語が自動詞と他動詞どちらの意味で使われているのかも要チェックです!
レアな他動詞 live でラプンツェルにエールを!
では live はどうでしょう?
もしも〝live を使った例文を作ってください!〟と言われたら、皆さんの頭に真っ先に思い浮かぶ文はこれだと思います。
I live in Tokyo. (私は東京に住んでいます。)
この自己紹介の定型文、英会話を習ったことがあれば一度は耳にしているはず。
この文の live を自動詞 or 他動詞の視点で見てみると、live の直後に置かれているフレーズは in Tokyo。
先ほどの walk in the park と同じで、これは副詞の役割を果たしているフレーズです。
副詞は目的語にはなれないので、この live は目的語をとっていない自動詞だとわかります。
一方、先ほどのフックハンドの台詞を改めて見てみると…
Go. Live your dream.
塔の上のラプンツェル 00:42:57~ ※下線は独自に追加
行け。夢を追いかけろ。
live のすぐ後ろにいのは your dream というフレーズ。
前置詞は付いておらず、これは完全に名詞の役割をするフレーズです。
なので、I live in Tokyo. の自動詞の live とは異なり、フックハンドの台詞に使われている live は目的語をとっている他動詞ということになります!
live in ○○ という表現に慣れている我々にとっては珍しく感じる自動詞の live ですが、辞書で live という単語を引くと、他動詞としての意味もわずかですがちゃんと紹介されています。
Momiji 愛用の『ジーニアス英和辞典』だと、次のような説明が記載されていました。
live … 【他動詞】①[~ a … life]…な生活をする[送る]; [~ one’s life]生活をする ②〈信念など〉を生活の中に示す, 生活で実行する
実は他動詞としての live も、自動詞ほど頻繁ではありませんが、たま~に見かける表現で…
例えば、次のような文で使われます。
She lives a healthy life. (彼女は健康的な生活をしている。)
live に対して life という目的語をとるのは、日本語に例えるなら〝頭痛が痛い〟〝馬から落馬する〟みたいに表現がダブっている感じがして少し違和感がありますが…
でも、英語としては、これで何の間違いもない正しい表現なのです!
そんな他動詞としての live をフックハンドの台詞に当てはめると…
〝おまえの夢を生きろ。〟
という感じでしょうか?
これはあくまで Momiji 個人の解釈でありとらえ方ですが…
follow ではなく live という動詞が使われていることで、なんだか、一生懸命に頑張って夢を追いかけるというよりも、夢が叶える過程を楽しみながら大切に生きていくというニュアンスが感じられて、ラプンツェルの天真爛漫な性格にすごくマッチしていると感じる表現です♡
こんな表現がとっさに出てくるフックハンド、やはり天才では…?
そして、文法的に色々ややこしいことも説明しましたが…
そうはいってもこの台詞、たった3語なのでとても覚えやすいフレーズです!
パークでキャラグリ中のラプンツェルに会ったときには、ぜひ Live your dream! とエールを送ってあげてみてくださいね♡
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