Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英語学習的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った場面を、解説とともにご紹介♪
今回は『ピーター・パン』より、might have + 過去分詞を使ったジョンの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】ウェンディ危機一髪!
今回取り上げる台詞はこちら。
Good heavens, Wendy, you might have been killed.
ピーター・パン 00:30:27~
憧れのネバーランドにたどりついたダーリング家の三姉弟ですが、冒険は一筋縄ではいきません。
フック船長率いる海賊たちからのいきなりの砲撃、スピードが速すぎてついていくことができないティンカー・ベルの道案内…
挙句の果てには、ティンクから〝ウェンディ鳥を撃ち落とせ〟とピーター・パンからの嘘の命令を吹き込まれた迷子たちが、まだ空を飛ぶのに慣れていないウェンディに向かって一斉攻撃してきたから、さあ大変!
ホント、ネバーランドって命がいくつあっても足りない場所ですね…!
この台詞には見ての通り、might have +過去分詞 という表現が使われているのですが、まさにそのフレーズがネイティブの会話の中でどんな使われ方をしているるのか学ぶのに、ぴったりの例文となっています!
ということで、今回の記事ではこの might have + 過去分詞に注目しながら、この台詞を深掘りしていきたいと思います♪
【今回の注目ポイント!】might have + 過去分詞
Good heavens, Wendy, you might have been killed.
過去形なのに、過去の話じゃない?
これから might have + 過去分詞について詳しく見ていくわけですが、そもそも might という単語自体が、あまり聞き馴染みがないな~と感じる人も多いのではないでしょうか?
文法的に定義すると、 might は助動詞 may の過去形にあたります。
May I help you? (お手伝いしましょうか?)
や
She may be in her room. (彼女は多分自分の部屋にいるよ。)
というときに使う、あの may です。
と言っても、might が may の過去形だからといって、
She might be in her room.
という文が〝彼女は多分自分の部屋にいたよ。〟と過去のことを表す意味になるのかといえば、そうではないところがややこしいポイント!
might は may より確信が低い推量を表し、あえて先ほどの例文を日本語にするなら〝彼女は自分の部屋にいるかもしれない。〟という感じの意味になります。
(さらに細かいことを言うと、might を使ったこのタイプの文は、言外に if 節があるとみなして、仮定法過去のルールに倣って助動詞の may を過去形の might にしている、という事情があるのですが、とりあえずは might だけでは過去の出来事を表しているとは限らないということを理解してもらえればそれでOKです!)
完了形と組み合わせて過去の〝○○だったかも〟を表す!
では〝ひょっとしたら彼女は自分の部屋にいたかもしれない。〟というような、過去の出来事に関する推量を表す場合、どのように言えばいいのでしょう?
…ということで、ここで満を持して登場するのが今回のメインテーマの might have + 過去分詞です!
実際に先ほどの例文を might have + 過去分詞 を使って書き換えてみましょう!
She might be in her room. (彼女は自分の部屋にいるかもしれない。)
↓
She might have been in her room. (彼女は自分の部屋にいたかもしれない。)
have + 過去分詞を使うか使わないかで、いつの話をしているのかがガラッと変わってくる…
このあたりが英語の難しさであり面白さでもありますね!
might have + 過去分詞は〝~だったかもしれない〟と訳す。
このことをしっかり頭に入れて、ジョンの台詞の意味を考えていきましょう!
・might have + 過去分詞で、〝~だったかもしれない〟というような
過去についての推量を表すことができる。
・might は may の過去形だが、 have + 過去分詞と一緒に使わないと
〝~かもしれない〟という現在についての推量を表す文になってしまうので注意
【読解 tips】 驚いたときのひと言は〝良い天国〟? etc.
続いてその他の細かい単語のチェックにいきましょう!
①Good heavens, Wendy, you might have ②been killed.
①【イディオム】Good heavens! … おや、まあ
good は「よい」、heaven は「天国」という意味ですが、これが合体すると「おや」「まあ」という感嘆詞のような役目を果たす言葉に早変わり!
英語では、キリスト教絡みの言葉(god 「神」や Christ 「イエス=キリスト」など)が感嘆詞に使われることが何かと多いですよね。
英語の意味云々を抜きにしても、欧米の映画やドラマを見ているとキリスト教の知識があったほうがより深く物語を理解できるものが多々あるので(ディズニー作品でも『ノートルダムの鐘』なんかはまさにそうですね!)、私ももっともっと教養を深めたいところです…!
②【文法】受動態
今回の記事の最注目ポイントである might have + 過去分詞ですが、ジョンの台詞でその過去分詞の部分に入っているのは、 be の過去分詞である been。
そしてその後ろには、 kill (「〈人・動物〉を殺す」)の過去形・過去分詞である killed が置かれています。
過去分詞の動詞にさらに過去形 or 過去分詞の動詞が続くという、なんだかややこしい構造になっていますが、ここで思い出していただきたいのは〝 be +過去分詞〟はどう訳せばよかったか?ということ。
そう、 be が過去分詞の been になっているせいで少し難しく見えるけど、これはまぎれもなく受動態(受け身)の文!
複雑にからみ合った文法事項を、ひとつひとつ英文法の公式に当てはめて理解できるかどうかが、読解の鍵になってくるのです…!
こればかりはたくさんの英文に触れて何度もトレーニングあるのみ!ですね!
【和訳に挑戦!】ネバーランドの旅は命がけ
最後の仕上げに、この台詞を日本語に直訳してみましょう!
Good heavens, Wendy, you might have been killed.
まず冒頭の Good heavens は「おや」「まあ」といった感嘆詞ということでしたが、ジョンの普段の口調に合わせると、
〝うわあ、ウェンディ〟
や
〝大変だったね、ウェンディ〟
といった訳が適当かなと思います。
そして今回のいちばんのポイントである〝 might have + 過去分詞〟が含まれた後半部分。
might have + 過去分詞は〝~だったかもしれない〟と訳すということは、ここまでで確認した通りですが、you = ウェンディにどんなことが起きていたかもしれなかったのでしょう?
その〝何が起きていたか〟の部分が、 been killed 。
元々の形は be killed ですが、 might have の後ろにくる動詞は過去分詞でなければいけないので、 be が been になっているというわけですね!
kill の意味は【読解 tips】の項でも確認した通り「〈人・動物〉を殺す」。
なので、これらの情報をまとめると
〝大変だったね、ウェンディ、殺されていたかもしれないよ。〟
という感じになるかと思います。
最後に答え合わせとして、公式の日本語吹替の訳をチェックしてみましょう。
Good heavens, Wendy, you might have been killed.
危ないとこだったね、落ちたら死んでたよ。
原語の台詞にはない「落ちたら」という表現が加わったことで、〝殺す〟というなかなか物騒なワードを入れることなく、ジョンの台詞の意図するところが伝わってきて、なるほど~!という感じですね♪
しかし、いずれにしてもネバーランドでの冒険は本当に命がけ!
ファンタジースプリングスを訪れる皆さん…
どうか無事に帰ってきてくださいね…!笑
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