Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英語学習的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った場面を、解説とともにご紹介♪
今回は『ピーター・パン』より、high time という表現が登場するダーリング氏の台詞を取り上げます。
【今回の台詞】おとぎ話は今日でおしまい!?
今回取り上げる台詞はこちら。
It’s high time she had a room of her own.
ピーター・パン 00:06:50~
ジョンとマイケルの〝ピーター・パンごっこ〟に振り回され、子供たちのお父さんであるジョージ・ダーリングはすっかりご立腹です。
ウェンディが空想ばかりして弟たちにくだらないおとぎ話を吹き込んでいるのがすべての原因だと考えたダーリング氏が、彼女に対して下した決断とは?
…というのが、この台詞の中身です。
ひとつひとつの単語の難易度はそれほど高くないですが…
〝high time? 高い時間? どういう意味?〟
〝動詞の have が過去形になっているのはなぜ?〟
など、一筋縄ではいかない要素が組み込まれているこの台詞。
一緒にひとつひとつ確認しながら読み解いていきましょう♪
【今回の注目ポイント!】high time ってどういう意味?
It’s high time she had a room of her own.
まずは黄色のマーカーを引いている部分に注目したいと思います!
It’s time ~ = […ということ]をすべき時である
そもそも time 「時」を使った構文に It’s time ~ というものがあります。
この〝~〟の部分には節(接続詞(省略可)+文)が入り、「[…ということ]をすべき時である」というふうに訳します。
実際に簡単な例文を見てみましょう♪
It’s time I went home. (そろそろ家に帰る時間だ。)
こんな感じで、そろそろ〝I went home〟時だ!という意味になるわけですね!
そして今回の台詞の time の前に置いてある high。
こちらは「[…ということ]をすべき時である」という意味をさらに強める働きをしています。
辞書によってはこの high time 自体が見出し語になっていて、「機の熟した時」「とっくに…すべき時刻」「潮時」(『リーダーズ英和辞典 第3版』研究社、2012、2016、『リーダーズ・プラス』研究社、1994、2016)といった日本語訳が載っているものもありますので、お手持ちの辞書を一度チェックしてみることをオススメします♪
節の中身の動詞は、忘れずに〝仮定法過去〟!
ここまでの例文などを見ていて、
〝あれ? どうして節の中の動詞が過去形なんだろう?〟
と思われたかたもいるかもしれません。
実はこれ、文法書の定番である『ロイヤル英文法』の中でもひとつの項目が立ってしまうほどの重要項目。
It’s time ~ の構文では、必ず節の中に仮定法過去が使われるんです!
だから、今回のダーリング氏の台詞も、それから先ほど紹介した例文も…
It’s high time she had a room of her own.
It’s time I went home.
ちゃーんと動詞は過去形になっていますね。
忘れやすいポイントなので(私も正直、この台詞を調べていく中で、初めてちゃんと認識したレベル…!)、みなさん、お気をつけて~!
・It’s (high) time ~ で「 […ということ]をすべき時である」という意味。
・節の中は仮定法過去にするのを忘れずに!
【読解 tips】〝彼女の部屋〟は her room だけじゃない?
続いてその他の細かい単語や文法事項のチェックにいきましょう!
今回は短い台詞なので、そこまで取り上げる内容は多くないのですが、最後の of her own というフレーズに注目です。
It’s high time she had a room ①of her own.
①【文法】名詞 + of +所有格+ own
〝彼女の部屋〟というフレーズを英語に訳してください!と言われたら、おそらく多くの人が her room と答えるはず。
しかし、それ以外にも表現はいろいろあるのです!
〝他の誰のものでもない、彼女自身の部屋だ!〟と、〝彼女の〟という部分をより強く表現したい場合によく使われるのが、この名詞+ of +所有格 + own という表現。
長くて覚えにくいな~と感じるかたもいるかもしれませんが…
もしあなたがディズニーの『ふしぎの国のアリス』を見たことがあるなら、この表現を簡単に覚えるチャンス!
この作品の冒頭で、歴史のお勉強に退屈したアリスが、自分の思い描く夢の世界について歌う「私だけの世界」という曲があるのですが、その曲の原題が In a World of My Own というのです。
歌詞の中にも2度このフレーズが登場するので、迷ったときにはぜひアリスの歌声を思い出してくださいね♡
ちなみに余談ですが、原語版では『ふしぎの国のアリス』のアリスの声と『ピーター・パン』のウェンディの声は、キャサリン・ボーモントという同じ俳優さんが担当されています。
近年でも、ゲームソフト「キングダム ハーツ」シリーズではアリスやウェンディだけにとどまらず、ヒロインのカイリのおばあちゃん役を演じたり、『ふしぎの国のアリス』をモチーフにした「アリスとふしぎのくにのベーカリー」というテレビアニメーションシリーズにゲスト出演したり…と、たくさんのディズニー作品に関わっていらっしゃる、まさにレジェンド!なおかたです♡
【和訳に挑戦!】子供部屋にさようなら…!
最後の仕上げに、この台詞を日本語に直訳してみましょう!
It’s high time she had a room of her own.
まず、今回最大の注目ポイントである It’s high time の部分については、先ほど確認した日本語の意味のいいとこ取りをして〝もうとっくに~すべき時だ〟と訳してみましょう。
では、何をするべき時なのかというと、 she had a room of her own する時なわけですよね!
名詞+ of +所有格+ own の訳し方にのっとって日本語にすると、she had a room of her own は、〝彼女(=ウェンディ)が自分自身の部屋を持つ〟という意味になります。
(had は仮定法過去なので、訳すときは〝持った〟とする必要はありません)
この2つの文を繋げると…
〝もうとっくに彼女は自分自身の部屋を持つべき時だ〟
と訳すことができます。
つまり、子供部屋は卒業して、これからは一人部屋で寝なさい、ということですね!
ちなみに日本語吹替の訳はこうなっていました。
It’s high time she had a room of her own.
ウェンディを一人部屋に移しなさい。
元の文には〝移す〟を意味する単語は含まれていませんが、ダーリングさんがこの台詞を言った意図のほうにフォーカスした意訳となっています。
たしかに、この直後にウェンディたちがものすご~くショックを受けている表情を見せるので、これくらいはっきりと宣告する日本語訳のほうが、その後のシーンとナチュラルにつながりますね!
そんなわけで、今夜が子供部屋で過ごす最後の夜となってしまったウェンディ。
しかし、そこに思いもよらぬ訪問者が現れて…?
物語は次回の更新に続きます♪
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