Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英語学習的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った場面を、解説とともにご紹介♪
今回は『ピーター・パン』より、吹替版では少し違和感のある(!?)、とあるシーンのナナのリアクションの謎に迫ります。
【今回のシーン】忠犬ナナのなんだかおかしなリアクション?
わたくし Momiji も小さい頃から吹替版のビデオで何度も何度も見てきた『ピーター・パン』
その中で前々から少し違和感のある場面がありました。
それは、ダーリング家の有能な子守りである犬のナナの仕事ぶりが描かれる場面。
ベッドメイキングからおもちゃの片づけまで、なんでも黙々とこなすナナですが、そんな彼女が珍しくとても不機嫌そうな顔を見せるシーンがあります。
文字に起こすとこんな感じ場面です。
ナナが整えてくれたベッドの上で、ピーター・パンごっこに興じるジョンとマイケル。
ジョン「さあ来い、坊主、はらわたをぶった切るぞ」
ナナは子どもたちの様子を特に気に留めることなく、彼らに飲ませるための栄養剤の準備に取り掛かる。
栄養剤の瓶を口にくわえて、並べられた三本のスプーンに器用に栄養剤を注いでいく。
その間もピーター・パンごっこを続けるジョンとマイケル。マイケル「切られるもんか。下がれ下がれ下がれ、悪党め」
ジョン「こしゃくなちびっ子」フック船長に扮したジョンのその言葉に、ナナが驚いた様子で子どもたちの方を見る。
うっかり瓶から目を離したせいで、前足に栄養剤がたれてきてしまい、ナナはさらにびっくり。
そんなナナの反応に気づかず、ジョンとマイケルのピーター・パンごっこはまだ続く。マイケル「何を、海賊」
ジョン「あっはあ、参ったか」
マイケル「平気だよ。触ってもいないさ」ナナは一旦トレーに瓶を置くと、ジョンとマイケルにむっとした表情を向け、前足についた栄養剤を舐め取る。
ピーター・パン 00:04:10~00:04:28
しかしその栄養剤の不味さに顔をしかめるはめに。
私はこの場面を見る度に、
〝なぜジョンが「こしゃくなちびっ子」と言った瞬間、ナナはあんなに驚いたのだろう?〟
と、いつも疑問に思っていました。
〝汚い言葉づかいに顔をしかめているのかな?〟とも思いましたが、それならこの台詞よりも前に登場する「はらわたをぶった切る」のほうがよっぽど残虐ですし…
そんな不思議なこの場面の謎を解く鍵は、もちろん原語版の台詞にありました!
【原語で聞いてみると…】聞き捨てならない!ジョンのひとこと
ナナが驚いた表情をする直前にジョンが発した「こしゃくなちびっ子」という台詞。
この台詞が原語では次のようになっていました。
Insolent pup!
ピーター・パン 00:04:20
insolent は「横柄な」「生意気な」「無礼な」という意味の形容詞。
たしかにフック船長からピーター・パンへの台詞に使われるのにも納得の単語ですね。
しかし、この単語だけでナナがそこまで驚くとは思えません。
大切なのは2つ目の単語である pup のほう。
こちらは puppy という単語が短縮された語で、 puppy とは元々「子犬」という意味!
それが転じて「若者」や「青二才」という意味もあり、ジョンはその意味でこの単語を使っているわけですが…
そりゃあ犬であるナナからすれば、そんなネガティブな意味合いで〝犬〟を表す単語を使われたらたまったもんじゃないですよね!
最初に疑問を感じてから数十年、ようやくナナがあの場面で不機嫌になった理由を知ることができ、大変すっきりしました!笑
ちなみに日本語字幕では「負け犬め!」という訳になっていました。
原語の意味合いとは微妙に違うかもしれませんが、〝犬〟を使ったネガティブな表現という意味ではすごく上手で素敵な訳だな~と思います♡
【おまけ】使用には注意!? ジョン&マイケルの罵り台詞コレクション
せっかくなので、おまけとして、ジョンとマイケルがピーター・パンごっこに興じている一連のシーンから、面白い罵り言葉をいくつかピックアップしてみようと思います♪
こういう罵り言葉って、なかなかバラエティ豊かで楽しいんですよね~♪
英語でも日本語でも、面白い罵り言葉がぽんぽん出てくるような場面に出くわすと、なんというか〝言葉の豊かさ・面白さ〟みたいなものを感じて、私はなんだかテンション上がっちゃいます 笑(たとえば「ジョジョの奇妙な冒険」とか…!)
普段の生活ではまず使うことのないフレーズばかりですが、〝こんな表現もあるんだ~〟と楽しんでいただけると嬉しいです^^
①Take that! (00:03:02)
ピーター・パンごっこの場面の冒頭に、ピーター・パン役のマイケルが言うこのフレーズ。
その語も数回にわたって使われています。
こちらは辞書にも載っているフレーズで「これでもくらえ」という意味。
相手に攻撃を食らわせるときの定番のひとこと、といった感じですね!
②I’ll slash you to ribbons! (00:03:46)
こちらはフック船長役のジョンの台詞。
slash O to ribbons で、「…をずたずたに切り裂く」という意味になるそうです。
言っていることは怖いけど、〝リボン〟という単語のチョイスが可愛くて、なんだかギャップにじわじわくるフレーズです…笑
③Wicked pirate! (00:04:22)
こちらは先ほどの Insolent pup! に対するマイケルの応答の台詞。
wicked は「悪い」「不道徳な」、そして pirate はもちろん「海賊」という意味です。
wicked については、ディズニー好きのかたなら、ときどき『白雪姫』の女王/魔女のことが the Wicked Queen / the Wicked Witch と表記されることがあるので、そこで聞いたことがあるかもしれませんね!
同じく〝悪い〟を表す代表的な形容詞に evil という単語もありますが、辞書の説明によると、 wicked のほうが evil よりも「不道徳で意図的な悪さを強調」(『ジーニアス英和辞典 第5版』大修館書店)しているのだそう。
お間抜けな印象の強いフック船長だけど、こんな単語のチョイスで表現されているところを見ると、やっぱりちゃんと悪役なんですね…!
こんな感じで、少しの違和感を見逃さずに調べていくと、思わぬ発見や新しい表現に出会えるのが、ディズニー作品を使った英語学習の楽しいところ♪
これから始まるネバーランドでの冒険でも、どんな発見があるか楽しみですね!
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