used to から読み取るディッパーとメイベルのすれ違い【怪奇ゾーン グラビティフォールズS1EP12】

学習記録

Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪

今回は「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」のシーズン1第12話「サマーウィーンの恐怖」より、used to というフレーズが使われているメイベルの台詞を取り上げます。

【今回の台詞】すれ違う姉弟の想い…

今回取り上げる台詞はこちら。
メイベルからディッパーへの台詞です。
(主人公なのになかなか台詞を取り上げてあげれてなくてゴメンね~!笑)

What happened to the Dipper who used to love Halloween?

怪奇ゾーン グラビティフォールズ シーズン1第12話 サマーウィーンの恐怖 00:13:38

物語も中盤に差し掛かり、サマーウィーントリックスターの命令通り、なんとかお菓子集め500個を達成したディッパー&メイベルとゆかいな仲間たち。

すべてが順調のはずでしたが、メイベルは偶然、ディッパーがウェンディとこの後開かれるパーティーについて話しているのを目撃してしまいます。

もしサマーウィーントリックスターに命を狙われてなければ、自分と一緒に仮装してお菓子をもらいに行くのよりも、ウェンディに誘われたパーティーを優先していたのでは?
…と、メイベルはディッパーを問い詰めます。

この台詞も、そんな一連の場面の中でのメイベルの台詞です。

メイベルの切ない想いが込められていると同時に、used to という英語学習の中ではお馴染みのフレーズも登場するこの台詞を、一緒に深掘りしていきましょう♪

【今回の注目ポイント!】used to の見分け方・訳し方

What happened to the Dipper who used to love Halloween?

今回注目したいのは used to というフレーズです。

要注意!見た目は同じ・役割は違う2つの used to

この used to というフレーズ、高校までの英語の授業でも必ず習うものではあるのですが、実はこのフレーズ、見た目は一瞬同じに見えても、まったく意味や役割が異なる2つの使い方があったのを覚えていますか?

①形容詞の used (to ~) … (~に)慣れている

You’ll soon get used to your new job. (すぐに新しい仕事に慣れるよ。)

1つ目は、上記の例文のように、 used が形容詞として使われているパターン。
その後ろに to + 名詞または動名詞を置いて、「〈事・物・人〉に慣れている」と訳します。
品詞としては形容詞となるため、be 動詞や get と一緒に使われることが多いです。

②助動詞の used to … よく…したものだ、…だった

I used to play soccer in this park. (昔はこの公園でサッカーをしたものだ。)

2つ目は used to が助動詞として使われているパターンです。
「よく…したものだ」「…だった」というように、過去の習慣や状態を表すことができます。
can や may などと同じ助動詞なので、後ろに来るのは当然動詞の原形
そして、他の動詞を間に挟むことなく、主語のすぐ後ろに used to というフレーズが入るかたちになります。


いかがでしたか? ごっちゃになっていませんでしたか?笑
見た目はどちらも used to になってしまうのですが、そもそもの品詞や意味も、そしてその前後に来るべき単語の品詞も、まったく異なるので、どちらの used to なのかよ~く考えて訳してくださいね♪

メイベルの used to は形容詞? 助動詞?

では、今回のメイベルの台詞に登場する used to は形容詞と助動詞のどちらなのでしょうか?

先ほど確認した通り、見分けるポイントは、
① used to の後ろの単語は、名詞(動名詞でもOK)? それとも動詞の原形?
② used to の前にいるのは、述語になる動詞? それとも主語?

でしたね!

まず used to の後ろに続いている語句を見てみると…

What happened to the Dipper who used to love Halloween?

love Halloween と続いています。
love には「愛」という名詞の意味も「…を愛している」という動詞の意味もありますが…
その後ろに Halloween という名詞がきているところから察するに、ハロウィーン〝を愛している〟という意味の動詞の可能性が高そうですね。

念のために、used to の前の単語にも注目しておきましょう。
この台詞では used to の前に who という単語があります。
これはさらにその前の the Dipper という言葉を修飾する関係代名詞で、
What happened to the Dipper?

The Dipper used to love Halloween.
という2つの文をドッキングしています。
ドッキング前の文だと、主語である the Dipper と used to の間に別の動詞が挟まっていないので、これでますますこの used to は「よく…したものだ」「…だった」という意味の助動詞だということが確実になりました!

ちなみに 関係代名詞については、こちらの記事でも詳しめに解説していますので、よろしければ参考にしてみてください♪↓

ということで、今回のこの the Dipper who used to love Halloween を直訳するとなると、〝ハロウィーンを愛していたディッパー〟という意味になります。
これで台詞の半分は理解できましたね!

・助動詞としての used to には、過去の習慣や状態を表す役割があり、
 「よく…したものだ」「…だった」と訳す。

・似た表現として形容詞の used もあるので、ごちゃ混ぜにならないように注意!

【読解 tips】昔のディッパーはどんなディッパー?

続いてその他の細かい文法事項のチェックです!
…と言っても、先ほどの項で関係代名詞については説明してしまったので、ここでは Dipper の前に置かれている the について少し触れておこうと思います♪

What happened to ①the Dipper who used to love Halloween?

①【文法】the + 固有名詞

この the を見て〝あれ?なんだか変?〟と思ったあなたは、なかなかの冠詞マスター!笑

というのも、通常人の名前に a や the などの冠詞がつくことはありません
自己紹介のときに、
My name is a Hanako.

My name is the Hanako.
と言う人はいませんよね。

しかしそれはあくまで〝通常〟での話。

たとえば、自分の友達が普段のその人らしからぬ言動をしたとき…
〝いつもの友達〟と〝いつものその人らしからぬ友達〟の2種類の人物がいるとみなして、その片方に対して the をつけることがあるのです!

今回のメイベルの台詞でも、〝ハロウィーンが大好きだった昔のディッパー〟と〝メイベルとの仮装に乗り気でない今のディッパー〟の2種類のディッパーのうち、前者について言っているので、
the Dipper who used to love Halloween
という表現になるわけです!

かなり上級者向きの表現ですが、英語表現の豊かさ面白さを感じられる、そんな表現だと思います!

【和訳に挑戦!】すれ違うふたり…

最後の仕上げとして、ここまでの内容を総まとめ。
今回のメイベルの台詞を日本語に直訳してみましょう。

What happened to the Dipper who used to love Halloween?

後半部分の the Dipper who used to love Halloween は、ここまでの文法解説で確認した通り、〝ハロウィーンを愛していたディッパー〟となります。

では残りの What happned to ~ ? の部分はどう訳すかというと…

まず、冒頭の what や最後のクエスチョンマークからわかるように、 これは what という疑問詞を使った疑問文
この what という疑問詞は、主語にも補語にも目的語にもなれる、かなり万能な疑問詞だったりします。

What made you go to that party? (何があなたをそのパーティーに行かせたの?→なぜあなたはそのパーティーに行ったの?) (主語)
What is your name? (あなたの名前は何ですか?) (補語)
What do you want? (あなたは何を欲しいの?) (目的語)

メイベルの台詞では what の後ろに is your name ~ ? や do you ~? などの Yes/No で答えるタイプの疑問文のかたちが使われておらず、いきなり happened という動詞がきていることから what が主語だとわかります。

そして happen to O は「〈事が〉O〈人・物・事〉 に起こる」という意味。

以上を総合して直訳すると…
〝ハロウィーンを愛していたディッパーに何が起きたの?〟
という感じになります。

こちらをさらにナチュラルな表現にした公式の日本語吹替の訳はこちら。

What happened to the Dipper who used to love Halloween?
今まであんなにハロウィーンが大好きだったのにどうして?

直訳だと〝何が起きたの?〟となる部分を、〝どうして?〟と理由を尋ねる日本語に訳しているところが興味深いです。
たしかにメイベルの意図としては、〝どうしてあんなに大好きだったハロウィーンを一緒に楽しんでくれなくなってしまったの?〟ということをディッパーに問い詰めているわけですもんね!

また、〝今まで〟というワードで、 used to が過去のことを表しているという部分も上手く表現されていて、そこも素晴らしいなと感じました♡


ちなみに、これは余談なのですが…
この台詞に限らず、「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」ではシリーズ通して、メイベルの台詞が現代の女の子のリアルな口調で訳されているところが、私は大好きです♡

仮装を拒否するディッパーに「サマーウィーン精神はどうした?」と言ってみたり、勝手な行動をとるスースに「何考えてんの?」と言ってみたり…

決してがさつだったり無愛想なだったりキャラするわけではないのに、〝~だわ〟〝~なのよ〟といったちょっと不自然な女性言葉ではなく、自然と現代的な口調が馴染んでいるところが、翻訳家さんも声優さんもすごいな~!といつも感心しています。

そんなところにも注目しながら、引き続きサマーウィーンの物語を楽しんでいきましょう♪

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