今回は、株式会社アルクより出版されている、繁村一義さん・酒井邦秀さんの『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』を、曲がりなりにも英語学習を20年以上楽しく継続できている Momiji なりの視点でレビューしたいと思います。
『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』って、こんな本!
〝英語多読〟というタイトルからもわかるとおり、この本では、英語での読書を通じてとにかくたくさんの英語に触れることで英語力を伸ばしていく方法について描かれています。
…と聞くと、大抵の人は、
英語での読書…
なるほど、辞書を片手に読み進めていくのね。
…というイメージを持たれるかと思いますが、実はそうではないのです。
公式サイトや本の帯にも書いてあるように、この本が提唱する〝多読〟には「多読三原則」と呼ばれる3つのルールがあります。
それは…
① 辞書は捨てる
繁村一義、酒井邦秀『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』株式会社アルク、2018、7p
② 分からないところは飛ばす
③ 自分に合わないと思ったら投げる
いかがでしょう?
おそらく学校の英語の授業で指導されることとは真逆ではないでしょうか!?
だけど、そもそも義務教育+高校の基本的な英語学習では、触れる英語の量があまりに少なすぎる!というのが、この本における主張。
先述のアルク公式サイトによるこの本の紹介文にもあるように、「中・高の英語の授業や受験勉強で触れる英語の量は多くて延べ10万語。ペーパーバック1冊分の英語の量を6年間もかけてこなしている。」のだそうです。
たしかに、英語の本を1冊読んだだけで英語がベラベラになれるとは考えにくいですよね…
じゃあどうすれば効率よくたくさんの英語に触れることができるのか?というと、その方法が先ほどの三原則に基づく〝多読〟なわけです!
もちろん、文法知識ゼロからいきなり『ハリー・ポッター』原書1巻分を辞書なしで読もうとしても挫折は確実なので、まずはほとんど文字のない絵本からスタートするんですけどね!
絵を見るだけでもあらすじがつかめるような本からスタートして、徐々に文字の比率を増やしていけば、いつのまにか文字の多い本もすらすら読めるようになるのだとか。
この本の中では、
- 多読で英語力が伸びる理由
- 多読を実践して英語を楽しんでいるかたがたの体験談
- 多読の具体的なやり方 (特に教材選びの方法)
などのトピックを通じて、多読の魅力や効果がたっぷりと紹介されています。
体験談の章では、多読を実践しているかたがたのエピソードの中に、スティーヴン・キング(代表作は『IT』、『グリーンマイル』など)やロアルド・ダール(代表作は『チョコレート工場の秘密』、『マチルダは小さな天才』など)といった有名作家の作品の話題が次々と登場するので、海外エンタメファンのかたなら、
私もそんな有名作品を英語で読めるようになりたい!
とモチベーションが上がること間違いなし♪
また、教材選びの章も、一部古い情報はあるものの(ディズニーオタク的には、 Dlife の情報があまりに懐かしくて泣きました 笑)、安価にお手軽にたくさんの英語に触れる方法が網羅されています。
〝この情報のためだけにこの本を買ってもいい!〟と個人的には思えるくらいに充実の内容でした♡
こんなに〝楽〟で英語は身につくの? ~Momiji の実体験~
ここまでこの本の紹介を読んで、多くのかたは次のような疑問が湧いてきたかもしれません。
辞書や文法書を調べたり、単語の暗記をしたりすることなく、ただ英語で読書を楽しむ…
本当にこんなやり方で英語が身につくの?
わかりますわかります!
私も〝学校の英語の授業で単語の暗記や文法の学習を律儀にやってきたからこそ今の英語力が身についた〟と感じている身なので、〝辞書は捨てる〟というルールを見たときには思わず〝はあっ!?〟と心の中で叫びました 笑
だけど、ひと通りこの本を読んで感じたのは、
もしかすると私も、知らず知らずのうちに〝多読〟を実践していたのかもしれない
ということでした。
ここからは、あくまで一個人の経験談として読んでいただければと思います♡
『英語多読』の中で繰り返し強調されているのは、〝英語を身につけるには、英語に触れる量を増やすのが大切〟ということ。
それをふまえて、自分の英語学習歴を振り返ると、私がこの多読メソッドにいちばん近い学習方法をしていたのは大学生の頃ではないかと思います。
わたくし Momiji の英語遍歴は以下の自己紹介記事にもまとめているのですが…
この中にも書いているとおり、私が在籍していた大学は、英語の〝聞く〟、〝話す〟、〝読む〟、〝書く〟の4つの能力を、量の力を駆使して徹底的に鍛えるカリキュラムを持っていたので、もちろん〝読む〟能力を必要とする課題や授業もたくさんありました。
高校までの〝英語を読む授業〟は、教科書に載っている物語やエッセイを、一文ずつ日本語に訳していく…といういわゆる〝訳読〟というスタイルのものが多いと思います。
しかし、大学での〝読む〟課題では、〝訳読〟は一切求められませんでした。
たとえば、TIME のような英語圏の雑誌の記事を自分でひとつ選んで読み、その要約や自分の意見などを英語でレポートにまとめて提出する、というような課題が多かったです。
雑誌の記事以外にも、児童文学やアメコミの原書、それから『英語多読』の中でも紹介されている Graded Readers という英語学習者向けの読み物を読む課題もありました。
もちろん、これらを〝訳読〟式で1文ずつ日本語訳しながら読んでも構わないのですが、レポートの提出期限は1週間程度なので、そのやり方では時間的に限界があります。
こうして学生時代の私は、半強制的に「多読三原則」を用いた読書を実践することになったのです。
とりあえず大まかなあらすじや主張を理解するのが最優先!
なのでまずはひと通りざざっと読む!
読んでいる最中はいちいち辞書を引く暇なし!
(レポートに落とし込む段階で初めて、細部のチェックのために辞書を引く感じです)
(自分で読む素材を選べる課題であれば) あまりに意味がわからなければ、別の素材に切り替える!
…うん、改めて書き出すと、本当に無意識のうちに実はやっていたんですね、多読。
そして、その効果を実感したのが、初めて受けた TOEIC でした。
実は、受験を申し込んだものの、上記のような課題の山に追われていて、TOEIC 対策がほとんどできておらず、
せっかくお金出して受験するのに、何も準備できなかった…
無駄なお金を払ってしまった…。゚(゚´Д`゚)゚。
と絶望しながらテストに臨みました 笑
ところが、後日届いた受験結果をびっくり!
初受験にして、750以上のスコアを出すことができたのです!
TOEIC の出題形式に合わせたテクニックを身につけるももちろん重要ですが、やはり最も大切なのは基本的な英語力をしっかり鍛えておくことなんだな~と私はこのとき実感して、大学の授業の大量の課題に心から感謝したのでした♡
ちなみにその後、在学中にもう一度 TOEIC を受験する機会があり、自己最高スコアを 840 にまで伸ばすことができました。
『英語多読』の中にも、多読を楽しく続けていたら TOEIC のスコアが100点単位でアップしたり、中には 900以上(!)を達成したり、といった、にわかには信じがたい実践者のエピソードが載っていますが、
自分の英語遍歴を改めて振り返ると、
多読での英語力アップはじゅうぶんに有り得る話だな
というのが私の感想です。
ただし、私のケースでは多読でいきなり結果を出したわけではなく、中学・高校時代には、辞書を引きまくり、単語や熟語を暗記しまくり、文法の勉強もやりまくっていた、という下地があったという点には、ご留意いただければと思います。
私自身は、多読をすごく楽しくて有効な学習法だと感じる一方で、辞書をたくさん引いたり文法を丁寧に学んだりするタイプの英語学習も大好きですし、一時期本気で〝翻訳家になりたい!〟と思っていたほど訳読も大好きなので…♡
〝生きた英語〟を学習の初期段階から!
もう1点、私が多読のここが良いな!と思ったポイントがあります。
それは、
学習の初期段階から〝生きた英語〟に触れられること!
学校で使う英語の教科書は、基本的な表現から徐々に複雑な表現へと単元が進んでいく構成になっていますよね。
近年はストーリー性豊かなものも増えて面白いと感じる一方、〝学んで欲しい英文法や英単語ありきのストーリー〟という制約からは逃れられないのも事実です。
その一方で、多読で使う素材は、教科書やテキストの類ではなく、ネイティブスピーカーが実際に読んで・見て楽しんでいる本や映画やアニメやYouTube動画。
そこでは教科書では見たことないようなシチュエーションで、学校の授業で習うお馴染みの英文法がひょっこり顔を出したりします。
たとえば、手前味噌ですが、私が過去に書いたブログで取り上げた例だと…
完了の意味を表す現在完了を教科書で習うときに登場するお決まりの例文は I haven’t finished my homework yet. (私はまだ宿題を終えていません。) だったりしますが、『リトル・マーメイド』のエリック王子が同じ文法事項を使うと…
Oh, she’s out there somewhere. I just..
相手ならどこかにいる。ただ…I just haven’t found her yet.
リトル・マーメイド 00:21:58~
まだ見つからないだけだ。
※ she = この人なら結婚してもいい!と思える女性。まだ出会っていない運命の人についてエリックが語っている台詞です。
…というふうに、なんともロマンティックで生き生きとした文に出会うことができます!
もちろんディズニーのスタッフは、このエリック王子の台詞を書いたときに、〝ここで現在完了を使おう!〟なんてことは、1ミリも考えていないでしょう 笑
〝観客に面白い物語を届けたい!〟という想いから生まれた、まさしく生きた英語です。
この台詞を聞いた私たちのほうも、〝これは現在完了で…〟と考える前に、〝さっすが王子様! ロマンティックなこと言うな~♡〟という感想が浮かぶと思います。
これは私が大学の課題で読んでいた雑誌の記事や児童文学やアメコミでもまったく同じ。
読者に文法や単語の知識を身に着けさせるためではなく、世の中のニュースを知ってもらったり、物語の世界を楽しんでもらったりするために書かれた文章なので、読み終わった後には、
こんなニュース初めて知った! 勉強になったな~。
良いお話だった! 感動した~♡
という前向きな気持ちが自然と出てきます。
英語を教材としてでなく、
欲しい情報を得たり、素晴らしい物語を楽しんだりするための
ツールとしてとらえることができるようになった
という感じですね。
多読では学習者の年齢にかかわらず、学習の初期の段階から、英語を母国語とする子どもたちが読んだり見たりするような絵本や子ども向けアニメなどを見ることを推奨しています。
このブログを読んでくださっているディズニーファンの皆さまはもう重々承知だと思いますが、子ども向けのエンタメって実は侮れませんからね。
大人が読んだり見たりしても楽しめるコンテンツは山ほどあります!
早い段階でこの生きた英語の〝楽しさ〟に気づければ、英語に対する抵抗感を一切感じることなく、〝楽しい〟気持ちのまま大量の英語に触れ、どんどん英語力を伸ばすことができるのではないかと思います!
まだまだ語りたいことは山ほどあるのですが、長くなるので今回はこの辺で!
もし〝多読〟という学習方法に少しでもピンときたのであれば、ぜひ一度この『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』を読んでみることをオススメします♡
この記事がみなさんが自分にぴったりの英語学習方法を見つける手助けになれば幸いです!
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