Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英語学習的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った場面を、解説とともにご紹介♪
今回は『ピーター・パン』より、接続詞の once が使われているピーター・パンの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】ネバーランドにさよなら?
今回取り上げる台詞はこちら。
But I’m warning ya, once you’re grown up, you can never come back.
ピーター・パン 01:00:47~
映画スタートから1時間と47秒で登場する台詞ということで、いよいよ『ピーター・パン』の物語も佳境ですね。
前回の記事でも紹介した場面で、ウェンディからお母さんの素晴らしさについて聞かされたジョンとマイケル、そして迷子たちは、〝お母さん〟の待つロンドンの家へ行く気満々に。
しかし、ロンドンへ行くことは、ネバーランドを離れることとイコール。
ピーター・パンは盛り上がるみんなに釘をさすように、腹立たしげな口調でこの台詞を言い放ちます。
ピーター・パンも大概無神経なキャラですが、このシーンの迷子たちの手のひら返しもなかなかひどいので、ピーターが機嫌を損ねるのも無理ないよね~…なんて思ったり 笑
でもこのあとの場面でも、迷子たちがフック船長に脅されて今度は海賊側にあっさり寝返ったり、ピーターもけろっとした様子でウェンディからのプレゼントを開けようとしたりしているので、割とこういう小さな裏切りやいざこざは彼らの中では日常茶飯事なのかもしれませんね。
子どもって無邪気で残酷…!
そんな今回の台詞で注目したいのが、中盤に登場する once という単語。
ディズニー好きなら一度は見たことがある単語だと思いますが、この台詞での once の品詞はなんと〝接続詞〟!?
…ということで、今回は接続詞の once について掘り下げてみたいと思います!
【今回の注目ポイント!】接続詞の once
But I’m warning ya, once you’re grown up, you can never come back.
さて、みなさん once という単語を見て、真っ先に思い出すものってなんですか?
このブログを読んでくださっているかたはディズニー好きが多いと思うので、このあたりのフレーズが思い浮かんだのではないでしょうか?
・東京ディズニーランドで実施されていたプロジェクションマッピングのショー「ワンス・アポン・ア・タイム」
・『眠れる森の美女』の挿入歌 Once Upon A Dream (邦題は「いつか夢で」)
・ディズニー創立100周年を記念して制作された短編映画『ワンス・アポン・ア・スタジオ』
などなど。
ディズニーには特に詳しくないよ~!というかたでも、もし映画がお好きなら、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』という映画をご存知かもしれませんね。
これらの once はどれも副詞の once 。
「一度」や「かつて」「昔」といった意味があります。
だから once upon a time は〝昔々あるところに…〟というおとぎ話の冒頭の決まり文句となっているわけですね。
しかし!
今回のピーター・パンの台詞に登場する once は、そもそも品詞が副詞ではないのです!
結論から言うと、この once の品詞は「いったん…すると」という意味の接続詞。
接続詞なのでこの once の後ろには主語と述語を含む文が置かれ、その文が「いったん…すると」の「…」の部分にあたります。
そして〝いったん…するとどうなるのか?〟という結果を表す文を続けることで、ひとつの完全な文が誕生します。
…と説明するよりも、百聞は一見にしかず、実際に接続詞の once を使った簡単な例文をさくっと訳してみましょう!
Once you meet Peter Pan, you’ll like him.
once の後ろに確かに you meet Peter Pan 〝あなたはピーター・パンに会う〟という文が置かれていますね。
これを「いったん…すると」という訳に当てはめると、〝いったんピーター・パンに会うと〟という日本語訳になります。
ピーター・パンに会うと…どうなるの?という結論が書かれているのが、コンマ以下のもうひとつの文。
you’ll like him 〝彼を好きになる〟なので、これらの情報をすべて組み合わせて、なおかつ自然な日本語にすると、
〝一度ピーター・パンに会えば、あなたは彼を好きになるよ。〟
となるわけです。
この表現を応用すれば〝一度見れば好きになるよ!〟〝一度乗れば好きになるよ!〟とお気に入りの映画やアトラクションを英語で熱くオススメすることもできますので、once upon a time だけでない once の使い方、ぜひ覚えてくださいね♪
・副詞として使われることの多い once だけど、接続詞として使われることもある
・接続詞の once は「いったん…すると」と訳す
【読解 tips】 受け身と見せかけて実は…? etc.
続いてその他の細かい単語やイディオムをチェックしましょう!
But I’m ①warning ②ya, once you’③re grown up, you can never come back.
①【単語】warn … 〈人〉に警告する
warn の意味は「〈人〉に警告する」。
〝立ち入り禁止!〟など危険を知らせる看板に warning という文字列が書かれていたりするので、日常の中で見かけたことがある!というかたもいらっしゃるかもしれませんね。
この単語を見かけるのは大抵危険が近くにあるときだと思うので、ぜひ覚えておいていただきたい単語です…!
②【単語】ya … = you
教科書ではあまり見かけないですが、ディズニー作品の台詞で英語を勉強しているととってもよく見かけるワード、それがこの ya でございます!笑
you の略式表現なので、普通に「あなた」と訳せば OK 。
傾向としては男性キャラが使うことが多い表現で、これまでにこのブログで取り上げた作品だと、「ミッキーマウス クラブハウス」のミッキーや、『リトル・マーメイド』のカモメのスカットルやエリック王子が使っていました。
意外なところではアリエルも「パート・オブ・ユア・ワールド」の中で結構頻繁に使っていたので、よろしければ Disney+ で英語字幕を表示してチェックしてみてくださいね♪
③【文法】be + 過去分詞 で表す完了形
be + 動詞の過去分詞、と聞いて、すぐに〝受け身〟〝~される〟というフレーズが頭に浮かんだそこのあなた!
きっとたくさん英文法の勉強をされて、英文を見ると自然にそういったワードが浮かぶようになったんですよね。
素晴らしいです!
しかし、今回の台詞の you’re grown up を受け身の訳に当てはめると…なんだかおかしなことになってしまいますね。
〝あなたは成長される〟?〝大人になられる〟?
そもそも grow up は目的語が要らない自動詞。
自動詞が述語になっている文は、受動態の文に書き換えることができないのです。
(ちなみに grow up の意味は Instagram でがっつり取り上げているのでどうぞご参考に♡)
じゃあ、この be + 過去分詞は一体何なのかというと…
実は、 be + 自動詞の過去分詞で完了を表す、というちょっと特殊な用法が存在するのです!
He is gone. (彼は行ってしまった。)
など、本当にごく一部の動詞のみで見られるレア表現なのですが、
〝be + 過去分詞なのに、なんだか受動態の訳が上手く当てはまらない~!〟
となったときは、もしかしてその動詞は自動詞では?と少し疑ってかかってみると解決の糸口が見えるかもしれません。
ぜひお試しあれ~♡
【和訳に挑戦!】大人になると戻れない場所
それではここまでの情報をまとめて和訳にチャレンジしてみましょう!
But I’m warning ya, once you’re grown up, you can never come back.
まずは But I’m warning ya の部分から。
warn は「〈人〉に警告する」という意味なのは、先ほど確認した通り。
この台詞の直前にピーター・パンは〝ネバーランドから出て行きたいなら勝手に出ていけ!〟といったことを言っていまして、それを受けての
〝しかし警告するぞ〟
という出だしなわけですね。
続いて once you’re grown up, の部分を見ていきましょう。
ここに今回の最重要ポイント、接続詞の once が登場です!
「いったん…すると」と訳すんでしたね。
once に続く文の you’re grown up を、〝be + 自動詞の過去分詞〟で表す完了の意味に注意しながら訳すと…
〝いったん大人になると〟
という訳が見えてきます。
ラストを飾るのは you can never come back.
こちらは基本的な単語ばかりで訳しやすい文ですね!
〝あなたは二度と戻ってこられない〟。
以上の3つのパートを組み合わせれば、
〝だけど警告しておくぞ、いったん大人になったら、二度と戻ってこられないぞ。〟
という日本語訳が完成します!
子どもはいずれ大人になるけれど、大人が子どもに戻ることはできませんもんね。
子ども時代の儚さや貴重さに気づかされる、物語の鍵になる台詞だと思います。
ちなみに、公式の日本語吹替は、こんな日本語訳になっています。
But I’m warning ya, once you’re grown up, you can never come back.
だが言っとく、大人になったらここへは戻れないんだからな。
それほど大きな意訳はありませんが、〝警告〟という堅い言葉を使わず〝だが言っとく〟という言い回しにしているところに、永遠の少年であるピーター・パンらしさが出ていて良いな、と思いました。
(逆に小難しい言葉を使いたがるジョンであれば、〝警告〟という言葉を使ったほうがしっくり来そうですね!)
さあ、『ピーター・パン』の物語もいよいよクライマックス!
ますます熱くなる展開を楽しんでいきましょう♡
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