Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、気になった文法事項や表現を紹介していきます。
今回は「ちいさなプリンセス ソフィア」のシーズン1第17話「エンチャンシアのうた」より、「いろんな意味をもつ動詞 see」のお話です!
簡単な単語ほど奥が深い!動詞の世界
世の中には語学に関する本や教材がたくさんあります。
文法だったり、リスニングだったり、日常会話に使えるフレーズだったり…
いろんな切り口の本があって、本屋さんの語学教材のコーナーを眺めているだけでも楽しいですよね!
そんな中でも(あくまでMomijiの主観ですが…)〝よく見かけるな~〟と思うのが、動詞にフォーカスした英語学習本。
中学校で習うレベルの基本的な動詞数十個の使い方・意味をマスターすれば、たいていのことは英語でスラスラ表現できる!という類のものです。
もちろん、動詞〝だけ〟を暗記して即英語ペラペラになるわけではないと思いますが(当然、文法を学んだり、他の品詞の単語を覚えたりすることも必要だと思います)、〝ひとつの動詞でいろいろな意味が表現ができる!〟という点は私も100%同意です。
たとえばtakeという動詞。
私愛用の電子辞書に収録の『ジーニアス英和辞典 第5版 用例プラス対応』(大修館書店)を引くと、「連れて行く」「取る」「〈時間など〉をかける」「書き留める」「〈写真〉を撮る」などなど…他動詞だけでも28種類の語義があります。
さらにここにイディオム等も加わるわけですから、本当に奥が深いですよね…!
中学校で習う簡単な動詞だから…といってあなどれません。
今回の記事ではソフィアのとある台詞を参考に、動詞seeについて考えていきます。
「見る」が最初に習う意味だと思いますが、先述の『ジーニアス英語辞典』を引くと、こちらも他動詞だけで10種の語義があるなかなかの万能単語!
深掘りしがいがありそうです。
あなたに〝会う〟、私を〝見る〟
ではソフィアのこちらの台詞を見てみましょう。
ソフィアの自慢話に愛想をつかして帰ることにしたルビーとジェイドに対して、二人の不満にまったく気付いていない様子のソフィアがかける言葉です。
I’ll see you tomorrow at the festival, then.
ちいさなプリンセス ソフィア シーズン1第17話 エンチャンシアのうた 00:05:18~
I mean, you’ll see me on stage!
2文ありますが、各文に1回ずつseeが登場していますね。
1文目のseeは「会う」という意味。
日本語だと「じゃあ明日お祭りで会おうね」というところでしょうか。
お別れのあいさつのSee you again.「また会おうね」のseeと同じ意味で使われている、と考えるとわかりやすいと思います。
それに対して、2文目のseeはお馴染みの「見る」の意味で使われています。
「つまり…」(I mean)と言い直しのための前置きをして、「(正しくは、明日の収穫祭で、会うというよりも)ふたりはステージの上にいる私を見ることになるんだけどね!」的なことを言っています。
英語だからわかる、ソフィアの暴走
明日see(会う)しようね…いや、正しくはあなたたちふたりは、ステージで歌う私をsee(見る)するってところかな?
…このソフィアの台詞をじっくり見てみて、どう思われたでしょうか?
同じseeという単語を使っているのに…いや使っているからこそ!
2文目がなんだかとってもイヤミな感じに聞こえますよね?
少なくとも私はそう感じます。
では、この台詞、日本語吹替版ではどうなっているのでしょうか?
じゃあ明日のお祭りで会おう。
ちいさなプリンセス ソフィア シーズン1第17話 エンチャンシアのうた 00:05:18~
必ず私の歌を聞きに来てね。
英語のときとほぼ同じ内容ですが、さすがにここから「seeという動詞が異なる意味で2回繰り返して使われている」ということを読み取るのは少し難しいですね。
それに、この台詞だけ抜き出すと、英語のときほどの嫌みったらしさも滲み出ていないように感じます。
一応おことわりしておくと、当然ながら、私は「この吹替の訳は間違ってる!ヘタクソだ!」ということが言いたいわけではありません。
吹替や字幕の日本語訳は、文字数や口の動きなどいろんな制限がある中で生まれた、翻訳者のかたがたの知恵とテクニックの結晶だと常々思っています。
しかし、どんな英文でも、必ず完璧にイコールで結べる日本語訳というのは存在しないと思いますし(そしてそこが外国語の面白さでもあります!)、今回の台詞についても、「1文目と2文目に、どちらもseeという同じ動詞が使われていて、1文目のときの意味は○○で、2文目は…」と吹替の台詞の中で長々と説明するのは現実的ではありません。
だからこそ、こうして一手間かけて英語の台詞に触れると、吹替や字幕だけではわからなかった台詞の工夫が見えてきて、ますます作品が楽しくなり、そして外国語の面白さに触れられるのではないかな?と私は思うのです。
こんな楽しみも見いだしつつ、英語の世界を一緒にどんどん冒険していきましょう!
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