Momiji が実際にディズニーの洋書を楽しむ中で、英語的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った箇所を、解説とともにご紹介♪
今回は The Muppets Character Encyclopedia より、英語の言葉遊びが満載のミュージカルにまつわるジョークを取り上げます。
【今回のマペット】ミス・ピギーのライバル!? アニー登場
今回の記事で取り上げるのは、アニー・スーというブタの女の子のマペットです!
…と言っても、〝アニー・スーって誰!?〟という人が大半だと思います。
というか、私もこの本を読むまで彼女の存在をちゃんと認識してませんでした…(ごめんね!)
残念ながらディズニー公式サイトのザ・マペッツのページにも彼女のキャラクター紹介は見当たらなかったので、ここでは参考ページとして、Muppet Wiki というファンメイドのマペット情報データベースサイトの彼女のページをご紹介します。
(余談ですが、この Muppet Wiki というサイト、ファンメイドでありながらものすごい情報量で、世界中のマペットファン御用達のサイトとして知られています)
(私もいつもお世話になっています!)
ブタの女の子のマペットというと、ミス・ピギーが圧倒的に有名ですが…(以下のゴージャスな動画参照)
アニー・スーは、そんなミス・ピギーの〝ライバル的存在〟として登場したキャラクター。
自信家でちょっぴりわがままなミス・ピギーに対して、本書の記述によれば、アニー・スーは歌やダンスの才能があり、そのうえ他の出演者との協調性も抜群とのこと。
自分のことをライバル視してくるミス・ピギーにさえ笑顔で挨拶をする、とても〝良い子〟なのだとか。
そしてここからが、あくまでマペットたちを現実のショービズ界で活躍するスターと位置付けて話を進めるこの百科事典ならではの面白ポイントなのですが…
アニー・スーは「マペット・ショー」での活躍だけに留まらず、才能を活かして数々の有名ミュージカルにも出演しているのだそうです。
そしてそのミュージカルのタイトルが、英語ならではの言葉遊びの宝庫で、英語学習的にもとても楽しい内容になっているんです!
私も読みながら爆笑してしまったそのミュージカルのタイトルを、英語的な解説も加えつつご紹介しますね♡
ディズニーゆかりの作品も! ブタ流パロディミュージカル 3選
The Muppets Character Encyclopedia では、歌って踊れるブタの女優のアニー・スーが出演したミュージカルが3作品紹介されていました。
それぞれ英語学習視点で深掘りしていきましょう!
【その1】「南太平洋」
1作目は、我々人間の世界では「南太平洋」というタイトルで知られるミュージカルです。
ブロードウェイでの初演は1949年。
「王様と私」や「サウンド・オブ・ミュージック」でも有名な作曲家リチャード・ロジャース&作詞家オスカー・ハマースタイン二世のコンビによる作品です。
のちに映画化もされ、一時期 Disney+(ディズニー・プラス)でも配信されていたことがありました。
(そして私が鑑賞する前に配信停止になってしまいました…無念…(T_T))
そんな「南太平洋」の原題は、
〝South Pacific〟
といいます。
英和辞書では South Pacific がそっくりそのまま見出し語になっていて、ミュージカルの邦題と同じ訳語があてられています。
South Pacific … [the ~] 南太平洋
(ちなみに、ミュージカルのタイトルとしてではなく、本当に海としての〝南太平洋〟を表したいときも、各単語の頭文字が大文字になるので覚えておきましょう!)
しかし、アニー・スーが出演しているミュージカルのタイトルは、次のようになっていました。
〝Sow Pacific〟
… south の代わりに sow という単語が使われていますね。
sow とは一体どういう意味なのか、辞書を引いてみると、まず次のような意味が出てきました。
sow1 … 【他動詞】①〈種〉をまく ②[比喩的に]〈疑い・恐怖など〉の種をまく
うーん… 〝海に種をまく〟?
いまいち意味がピンきませんね。
しかし、辞書に載っている sow の意味はこれだけではありませんでした。
もうひとつの見出し語には、こんな意味があったのです
sow2 … 【名詞】雌ブタ; (クマなどの)雌
こ、これだ~!!!
アニー・スーはブタの女の子のマペット、すなわち sow = 雌のブタ!
私たち人間の世界では〝South Pacific〟というタイトルで知られている「南太平洋」ですが、どうやらブタのショービズ界では〝Sow Pacific〟というタイトルで上演されているようですw
ちなみに、「〈種〉をまく」という意味の sow は〝ソウ〟と発音しますが、「雌ブタ」の意味の sow は〝サウ〟と発音するそうで、 south (〝サウス〟)により近い発音になっています。
やっぱり出演者はみんなブタさんばかりなのだろうか…
ちょっと見てみたい…w
【その2】「ペンザンスの海賊」
2作目の元ネタは「ペンザンスの海賊」という作品。
こちらはミュージカルというよりもオペラに分類される作品で、初演はなんと1879年!
作曲家のアーサー・サリヴァンと劇作家のウィリアム・S・ギルバートのコンビによる喜歌劇です。
特に「少将の歌」というとっても早口な歌は、原題でもいろんな作品でパロディの対象となっています。
ディズニーオタク的には、DVDオリジナル長編アニメーションの『ミッキー、ドナルド、グーフィーの三銃士』で取り上げられていたのが印象的でした♡
この作品の中で、三銃士とピートがミニー姫を巡ってラストバトルを繰り広げるのが、まさにこの「ペンザンスの海賊」を上演中のオペラ座なのです!
もちろん先述の早口ソング「少将の歌」もばっちり登場♪
(ちなみにこれは完全なる偶然なのですが、『ミッキー、ドナルド、グーフィーの三銃士』で「少将の歌」を歌っているオペラ歌手もブタさんでした!)
そんな「ペンザンスの海賊」の原題は
〝The Pirates of Penzance〟
といいます。
pirate … 【名詞】海賊
pirate(s) が「海賊」という意味なのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』を見たことのあるディズニーファンにはお馴染みですよね!
そして Penzance = ペンザンスは物語の舞台であるイングランド南西部の町の名前。
原題と邦題の意味がまったく同じというパターンです。
さて、この「ペンザンスの海賊」が、アニー・スーが活躍するブタのショービズ界では一体どんなタイトルになっているかというと…
〝The Pigs of Penzance〟
pig … 【名詞】ブタ
pig の意味はもちろん「ブタ」。
タイトルを直訳すると「ペンザンスのブタ」となります。
うーん… もはや海賊要素ゼロで、逆にどんなストーリー展開のお芝居なのか気になってきましたw
そしてオペラ出演までこなしてしまうアニー・スーは本当に歌が上手なんだな~と感心しちゃいます♪
ミス・ピギーには多分難し… なんてうっかり書いたら、このブログにピギーから非難のコメントが書き込まれそうなのでやめておきますw
【その3】「メリー・ポピンズ」
3作目の元ネタは「メリー・ポピンズ」。
このブログに来てくださっているかたには説明不要かと思われますが、一応解説しておくと…
「メリー・ポピンズ」は、1964年公開のディズニー映画『メリー・ポピンズ』とその原作であるP・L・トラバースの児童文学をベースにした2004年初演の舞台版ミュージカル。
「チム・チム・チェリー」や「お砂糖ひとさじで」など、映画でお馴染みの楽曲も多数使用されています。
日本公演もおこなわれていたので、観に行ったことあるよ!というかたも多いのではないでしょうか?^^
そんな舞台ミュージカル版「メリー・ポピンズ」の原題はもちろん、
〝Mary Poppins〟
です。
主人公であるメリー・ポピンズの名前がそのままタイトルになっています。
これがブタさんバージョンになると、こんなタイトルに早変わり!
〝Mary Porkins〟
Mary は元のタイトルと同じですが、苗字が Poppins から Porkins に変わっていますね。
この Porikins という苗字をよ~く観察していると、とある単語が浮かび上がってきませんか?
pork … 【名詞】豚肉
そう、ここにもちゃっかりブタ関連ワードが織り込まれているのでした!
まあ、ブタたち本人が食肉の話をしていていいのか?という疑問は残りますが…w
メリー・ポピンズ役として名曲の数々を歌うアニー・スーの姿はちょっと見てみたいですね♡
余談ですが、マペットたちと『メリー・ポピンズ』は昔から接点が多く、次のようなエピソードが残っています♪
・初期の「セサミストリート」内でモブのマペットたちが「お砂糖ひとさじで」を披露
(なんとマペットたちの生みの親であるジム・ヘンソン本人が熱唱しているそうな)
・映画『メリー・ポピンズ』で主演を務めたジュリー・アンドリュースが「マペット・ショー」にゲスト出演
ディズニーが「マペット・ショー」関連の権利を取得する以前から、何かとご縁があったんですね♡
〝楽しい〟英語をマペットたちと体感しよう!
最後にこの記事で紹介した有名ミュージカルのブタさん版パロディタイトル 3つをまとめておきましょう!
元のミュージカルの 邦題 | 元のミュージカルの 原題 | ブタ風アレンジ版 パロディタイトル | 使われている ブタ関連英単語 |
「南太平洋」 | 〝South Pacific〟 | 〝Sow Pacific〟 | sow…雌ブタ |
「ペンザンスの海賊」 | 〝The Pirates of Penzance〟 | 〝The Pigs of Penzance〟 | pig…ブタ |
「メリー・ポピンズ」 | 〝Mary Poppins〟 | 〝Mary Porkins〟 | pork…豚肉 |
よくもまあ、アニー・スーというひとりのマペットのためだけに、
これだけミュージカルのタイトルとブタに関する単語を掛け合わせた
ダジャレを考えたんだなあ(*゚д゚*)
と、この百科事典の作者さんには本当に頭が下がります。
もちろんアニー・スーのページに限らず、 The Muppets Character Encyclopedia には英語の言葉遊びが満載!
深く読み込んでいくことで、思わずクスッと笑えるだけでなく、英語圏の文化や言葉遊びの奥深さを知るきっかけにもなります。
実際に私もこの記事を書くことで、昔からよく見ていた『ミッキー、ドナルド、グーフィーの三銃士』のオペラのシーンの元ネタを理解できたという、思わぬ収穫を得ました!
これぞまさに英語学習教材だけではなかなか味わえない、映画や書籍などのエンターテインメントを通じて英語を学ぶ醍醐味!
この面白さが記事を通じて少しでも伝われば幸いです♡
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