Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪
今回は『リトル・マーメイド』より、自動詞と他動詞の見分け方について学べるアースラの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】海の魔女アースラ、ついに本格始動!
今回取り上げる台詞はこちら。
I can’t stand it. It’s too easy.
リトル・マーメイド 00:27:15~
注文通りだよ。ばっちりいただきさ。
あまりに短くシンプルで、ここだけ切り出すと誰の台詞かわからなくなってしまうので、まずはどのシーンに使われている台詞なのか解説を。
嵐からエリックを救出し、なんとか砂浜まで連れてくることができたアリエル。
改めて彼への恋心を認識し、〝いつか必ずあなたの住む世界の一部になってみせる!〟と「パート・オブ・ユア・ワールド」のリプライズを高らかに歌い上げます。
『リトル・マーメイド』のハイライトシーンのひとつですね♪
…しかし、そんな希望と情熱に満ちあふれた彼女を見つめる怪しい影が。
手下であるウツボのフロットサムとジェットサムを通じて、海の魔女・アースラがその様子をばっちり監視していたのです!
ということでこの台詞は、〝人間の王子に恋をしている〟という最高に〝使える〟情報を手にしたアースラの歓喜の台詞、というわけです。
ヴィランズキャラ大好き♡なMomijiとしては、ようやくこのブログでアースラ様の台詞を紹介できて嬉しい限り!
さらにこの台詞、日本語吹替の訳ではかなり意訳されていますが、もともとの原語の台詞を把握しようと思うと、どの単語が動詞か見分けた上で、さらにその動詞が〝自動詞〟か〝他動詞〟かを見分ける必要があります!
これはこれで英語オタク・文法オタクとしての私の血が騒ぐ!笑
〝自動詞〟〝他動詞〟というワードにイマイチぴんと来ない…というかたもご安心を。
〝自動詞〟〝他動詞〟って一体何?というところから、順を追って説明していきますね!
【読解のポイント】自動詞・他動詞とは? どう見分ける?
自動詞・他動詞の定義
英語の一般動詞は、大きく〝自動詞〟と〝他動詞〟の2種類に分類されます。
自動詞と他動詞、それぞれの定義はいたって単純です。
自動詞とは …… 目的語をとらない動詞
他動詞とは …… 目的語をとる動詞
ちなみに、目的語とは、動詞の動作の対象となる名詞のこと。
目的語があるのかないのか、それさえわかれば自動詞と他動詞は簡単に区別がつくわけです。
なんて簡単♪
しかし
〝いや、だから、その目的語があるのかないのか見分けられないから困っているんだってば!〟
というかたもいると思いますので、基本的な自動詞・他動詞の見分け方のコツをお伝えしますね!
自動詞と他動詞の見分け方
【STEP1】動詞の真後ろに名詞があるかどうかチェック
まずは動詞のすぐ後ろに続いている単語たちをチェックしましょう。
たとえばこんな文の場合…
The baby is crying.
その赤ちゃんは泣いている
I went to the park yesterday.
私は昨日公園に行った。
1つ目の文は、cry の現在進行形である is crying という動詞の後ろには、目的語になりそうな名詞はもちろん、単語がひとつも見当たりません。
2つ目の文は、go の過去形である went が動詞。
その後ろに続いているのは to the park という前置詞で始まるワンフレーズ(こういうのを前置詞句と呼びます)です。
このように、動詞の後ろにそもそも単語がなかったり、名詞ではないものが置かれていたりするということは、つまりこれらの動詞は目的語をとっていないということ。
したがってその動詞は自動詞ということになります。
では、次の文の場合はどうでしょう?
I ate a big apple.
私は大きなリンゴを食べた。
She became a good teacher.
彼女は良い教師になった。
1つ目の文は、eat の過去形である ate という動詞のすぐ後ろに、a big apple という名詞が置かれていますね。
2つ目の文でも、become の過去形である became という動詞のすぐ後ろに、 a good teacher という名詞がいます。
それじゃあ a big apple や a good teacher が目的語?
ってことは、ate も became も他動詞?
…と思ってしまいがちですが、断定するにはまだ早い!
動詞の真後ろに名詞が置かれているのを確認したら、STEP2 に移りましょう。
【STEP2】文の主語とその名詞が、イコールで結べるかチェック
1つ目の例文の主語は I 、目的語候補は a big apple でした。
私はあくまで大きなリンゴを食べただけであって、〝私=大きなリンゴ〟ではありませんよね?
このように主語と目的語候補の名詞がイコールで結べない場合は、その名詞は晴れて〝目的語候補〟から〝目的語〟に認定ということになります!
そしてそれに伴い ate は目的語をとる動詞、つまり他動詞だとわかるわけです。
では2つ目の例文の、主語の she と目的語候補の a good teacher の場合はどうでしょう?
彼女は良い教師になった、という文だったので、〝彼女=良い教師〟の図式が成り立ちます。
このように主語と目的語候補の名詞がイコールで結べる関係にある場合は、その名詞は目的語ではなく補語(いわゆる S+V+C の C のことです)と呼ばれます。
こうして、became は補語をとってはいるものの目的語はとっていないので、この動詞は自動詞だ!ということになるのです。
もちろん例外もありますが、この2ステップをきちんと踏めば、おそらく8~9割くらいの確率でその動詞が他動詞なのか自動詞なのかを見分けることができるはず…!
英文を正しく解釈するためには、この他動詞・自動詞を見分ける力が欠かせませんので、英文を読む時にはぜひ〝この動詞は自動詞? 他動詞?〟と意識してみてくださいね。
何事もトレーニングあるのみ、です♪
・目的語をとる動詞が自動詞、目的語をとらない動詞が他動詞
・自動詞と他動詞の見分け方のコツは…
①動詞のすぐ後ろに名詞がある?
→ YES なら ②へ
→ NO ならその動詞は自動詞の可能性大
②主語とその名詞はイコールの関係にある?
→ YES ならその動詞は自動詞の可能性大
→ NO ならその動詞は他動詞の可能性大
【読解のポイント】その stand は自動詞 or 他動詞?
自動詞と他動詞の見分け方を学んだところで、もう一度冒頭に紹介したアースラの台詞を見てみましょう。
I can’t stand it. It’s too easy.
ここで注目してほしいのが、1文目に登場する stand という動詞です。
みなさんは stand と聞いて、真っ先にどんな意味を思い浮かべるでしょうか?
He stood up.
彼は立ち上がった。
この例文のように「立つ」という意味で記憶している人が多いと思います。
先ほどの自動詞と他動詞を見分ける 2ステップをこの文に当てはめると
stand の過去形である stood の後ろに置かれているのは副詞の up だけで、名詞は見当たらない
↓
目的語がないので、stood は自動詞
…ということになります。
しかし!世の中の stand がすべて自動詞というわけではありません。
動詞の中には、自動詞としても他動詞としても使うことができるものがあります。
さらにその中には、自動詞として使われるときと他動詞として使われるときでは、意味がガラッと変わってしまうものもあるのです!
stand は実はまさにその典型例とも言える動詞なのです!
中学1年生レベルの基本単語なのに、実はとっても奥が深いのです、 stand って…!
それを踏まえた上で、アースラの台詞
I can’t stand it.
を、自動詞と他動詞を見分ける 2ステップに当てはめてみましょう。
stand のすぐ後ろに it という代名詞がある
※ここでは代名詞も名詞とみなしてOK!
↓
it が目的語の可能性アリ!
↓
I (私、ここではアースラのこと) と it (それ、ここではアリエルの秘密を握ったこのオイシイ状況のこと)はイコールでは結べない
↓
it はやっぱり目的語
↓
目的語をとっているので、この stand は他動詞
こんなふうにして、この stand は他動詞だと結論づけることができます。
ここまでわかれば、辞書を引くにしても、上から順番に意味を見ていくのではなく、最初から他動詞の項を狙って確認することができるので、調べる作業も楽ですね♪
実際に辞書を引いてみると、 can’t stand + O (目的語) で、「~を我慢できない」という意味が出てくるかと思います。
もちろん〝痛みを我慢できない〟など文字通りにネガティブな意味でも使われる表現ですが、今回のアースラは〝嬉しすぎてたまらない!〟というポジティブな意味で使っているのが、彼女らしくて面白いです♪
そのあとの
It’s too easy. (原語の意味を生かして訳すなら〝簡単すぎ!〟〝チョロすぎ!〟という感じでしょうか?)
からも、とんとん拍子にトリトンへの復讐のチャンスが舞い込んできて、アースラがすっかり浮かれている様子がひしひしと伝わってきます。
・stand は「立つ」という意味の自動詞だけでなく、
他動詞としても使うことができ、
can’t stand + O で「~を我慢できない」という意味になる。
そういえば、よくよく考えると、私たちも日本語の日常会話の中で、
〝推しキャラがかわいすぎて無理!〟
〝この熱い演出がたまらない!〟
というふうに、ポジティブな内容を伝えるために、本来はネガティブな文脈で使われるはずの表現をあえて使ったりしますもんね!
英語でも似たような表現があるんだな~と思うと、外国語にも、そしてそんな表現を使うアースラにも、親近感がわいてきちゃいます!笑
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