【ライオン・ガードで英語学習】進行形?それとも…?~ingの用法を見極めよう

学習記録

Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪

今回は「ライオン・ガード」のシーズン1第6話「キアラじょおう」より、動詞の~ing形の用法の見分け方の勉強になるシンバの台詞を取り上げます。

【今回の台詞】キアラが女王に!? シンバからの緊急発表

今回取り上げる台詞はこちら。

Kiara will be acting queen while your Mom and I are away in Kilio Valley.
母さんとキリオの谷へ行く、その留守の間キアラに頼むんだよ

ライオン・ガード シーズン1第6話 キアラじょおう 00:01:25~

日本語吹替の訳は、諸々の情報が省略されているので前後の文脈がわかりづらいですが…
「ライオン・ガード」の今回のエピソードは、キアラとカイオンの姉弟に、父親のシンバが
〝今日からしばらくキアラが女王だ〟
と宣言するところからスタートします。

あまりに突然の話に困惑するキアラとカイオンに、シンバがその理由を説明するのが、こちらの台詞というわけです。

主語と動詞を見極めてみた!…けれど?

この台詞は、接続詞のwhile「…している間に」が用いられ、2つの節がくっついている構造になっています。
while以下のyour Mom and I are away in Kilio Valleyは、直訳すると〝君たちの母さん(=ナラ)と僕がキリオの谷に出かけている〟という感じですね。

さて、問題なのは、前半部分のKiara will be acting queenの方です。
先ほど見た後半部分のwhile節よりも単語数が少なくて単純に見えますが、みなさんはこの節の動詞ってどの部分だと思いますか?

私はぱっと見たとき直感的に
〝will be actingが動詞だ!〟
と思いました。

どういう思考を経てそう思ったのか、私の脳内を実況中継?するとこんな感じです。

※注意※
この実況中継、最初に言っておくと、とある箇所で私は盛大な〝勘違い〟を犯しています
それを踏まえた上で、どこで勘違いが発生しているのかも考えながら、
以下の表を見ていただけると幸いです♪

↓↓↓

【実録!】Momijiがwill be acting をこの節の動詞だと思うまで。
  • Kiara

    登場キャラクターの名前だから、十中八九これが主語だよね~。

  • Kiara will

    主語の次にwillか~。
    willはたまに「意志」という意味の名詞の時もあるけれど、こうして人名(いや、ライオン名?)の次に置かれているから、普通に未来を表す助動詞っぽいよね。
    もし名詞として使われていたら、Kiara’s willになるわけだし…

  • Kiara will be

    おっ、willの後ろに動詞の原形が来てる!
    助動詞の後ろに置かれる動詞は原形って決まってるもんね。
    ってことは、やっぱりKiaraが主語で、willは助動詞、willとセットになる動詞の原形はこのbeで間違いなしだ!

  • Kiara will be acting

    be動詞の後ろに動詞の~ing形を発見!
    ということはこれは進行形!
    動詞actの意味は「行動する」「演じる」とかだったよね。
    〝キアラは行動しているだろう〟〝キアラは演じているだろう〟って感じかな?

  • Kiara will be acting queen

    actingの後ろに名詞のqueen「女王」がいる!
    冠詞(aとかtheとか)が見当たらないけれど… そうか、地位としての「女王」を表すときは冠詞はなくていいんだ。

    調べてみたら、actには他動詞として「〈…の役〉を演じる」「…のようなふるまいをする」という意味もあるみたいだし、じゃあこのqueenはactの目的語ってことか!

…というような流れで、
〝will be actingがこの節の動詞! queenがその動詞の目的語!〟
と考えたわけですが、冒頭にも書いたように、
私はこの思考の流れの途中で盛大な勘違いを犯しています

それはどこなのか?
次の項で見ていきましょう!

進行形だけじゃない! ~ing形に隠された4つの可能性

will be actingがこの節の動詞だと判断した私ですが、
何かおかしい…?と感じたのは、この台詞の日本語訳を考えたときです。

キアラは女王を演じることになっている
キアラは女王のような振る舞いをすることになっている

actを辞書の通りの意味で訳すと、キアラがまるで女王〝ごっこ〟をしているように聞こえます。
別にごっこ遊びではないはずなのに…
シンバは本気で彼女に自分の代わりを務めさせようとしているのに…

そこで! この節の単語で私が見直したのは、前項の表の④以降に登場しているactingでした。

私はwill be actingでひとくくりと考えて、これは進行形!ここが動詞にあたる部分だ!と思ったわけですが、動詞の~ing形には、進行形を作る以外にも用法があります

動詞の~ing形が英文の中に登場した場合、考えられる可能性は次の4つです。

ing形の4つの可能性を説明した図。
ing形は動名詞と現在分詞のどちらかに分類される。
さらに現在分詞には進行形、形容詞用法、分詞構文の3つの用法の可能性が考えられる。
出典:薬袋善郎『英語リーディング教本』研究社、2000年、38ページ

(余談ですが、この表の出典元である『英語リーディング教本』は、〝理詰めで英文法を理解したい!〟というタイプのかたには非常におすすめの1冊です!私も愛用しております♡)

ざっくりとおさらいしておくと…

・動名詞は〝~すること〟
・現在分詞の進行形はbe動詞とセットで〝~している〟
・現在分詞の形容詞用法は他の名詞を修飾して〝~している○○〟
・現在分詞の分詞構文は他の文などを修飾して〝~していると…〟〝~しながら…〟

といった感じの日本語訳の例と共に学習した方が多いのではないかと思います。

今回の台詞では、この4つのうちの進行形に違いない!と私は直感的に判断してしまいましたが、よくよく考えると、他の可能性だって有り得るわけですよね!

ということで上から順に当てはめてみましょう。

まずは1個目の動名詞。
actingを動名詞と考えれば、〝女王を演じること〟〝女王のように振る舞うこと〟と訳すことも文法上は可能です。

ただ、全体の訳を見たときに、

キアラは〝女王を演じること〟になるだろう

というのは、やっぱりヘン。
さっきの謎の〝ごっこ遊び感〟もこれでは解消されません。

2個目の進行形はすでに試しました。

では3個目の形容詞用法を試してみましょう!
…と考えたときに、私ははっとしました

たとえばinterest「〈人〉に興味を持たせる」という動詞は、形容詞用法で使用されているうちに、interesting「興味を引き起こす」「面白い」というほぼ独立した形容詞になりました
もしもactingも同じように形容詞としての意味を持っているとしたら…?

ついに判明!actingの本当の意味

ということで私は早速、actではなくactingと電子辞書に入力してみました。
すると…ありました!
acting「臨時代理[代行]の」という意味の形容詞として載っているではありませんか!

自動詞のactには「行動する」などの他に、「〈人が〉(短い間)役目を務める」という意味もあり、その~ing形が、先述のinteresting同様、「臨時代理の」という意味の形容詞として独立して扱われるようになった、ということのようです。

これで、この短いけれど英語学習者泣かせなシンバの台詞の意味がはっきりしましたね!

Kiara will be acting queen は、

主語…Kiara
動詞…will be
補語…acting queen

で構成されており、while節とあわせて、

母さんと僕がキリオの谷に出かけている間、キアラが臨時の女王になるんだ

という意味になるわけです。

queenに冠詞がついていれば、もう少し見分けやすかったのですが…
(acting the queenなら他動詞+名詞(目的語)ですし、the acting queenなら形容詞+名詞であることが、ぱっと見でもわかりやすいですよね)

しかし、
・~ing形には進行形以外の用法の可能性も存在すること
・よく知っている動詞でも、実は~ing形に形容詞としての意味もある可能性があること

を改めて認識できる良い機会になりました。

そして何より、文法の知識を手掛かりに正しい解釈を導き出すのは、暗号を解読しているみたいでとっても楽しい!
みなさんもパズル感覚で楽しみながら英文法と仲良くなってくださいね♪

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