【今回の場面】ターラン、ガーギに出会う
師匠のドルベンから“豚のヘン・ウェンを森に奥の隠れ家に連れていく”というミッションを与えられ、
僕がついてるから心配ないよ、ヘン・ウェン!
ホーンド・キングからも守ってやる!
と豪語していたターラン。
そんなに調子に乗っていて大丈夫なのかと心配しながら見守っていると、案の定、ちょっと気を緩めた隙にヘン・ウェンが行方不明になってしまいます。
だから言わんこっちゃない…!
ターランはリンゴを使ってヘン・ウェンをおびき出そうとしますが、食べ物に引き寄せられるように現れたのは、ヘン・ウェンではなくガーギと名乗る謎の生き物でした。
『ピノキオ』のジミニー・クリケット、『ムーラン』のムーシュー、『アナと雪の女王』のオラフなどなど、いつの時代もディズニーの長編アニメーションには、主人公たちの冒険に“マスコットキャラ”的生物(本来生物ですらじゃないキャラもいますが…w)が同行する展開が定番ですが、このガーギもまさにそのポジションに位置するキャラクター。
見た目はもふもふで可愛い系の生き物なのですが、性格や行動、そして何より台詞に結構クセがありまして…!
今回の記事ではそんなガーギの台詞に注目することで、彼がどんなキャラクターなのかを掘り下げてみようと思います!
【注目台詞その1】“可愛い”キャラお約束?の一人称
オタクにとって、自分の好きなキャラクターがどんな人物かを考えるときに手がかりのひとつとなるのが、そのキャラクターが自分のことを何と呼ぶか、すなわち一人称です。
- 元気いっぱいの男の子のピノキオなら“僕”
- 皮肉屋な30代男性の『ズートピア』ニックなら“俺”
- ユーモアあふれるご年配の『王様の剣』マーリンなら“わし”
というように、一人称からそれぞれのキャラクターの性格や年齢が伝わってきますよね。
もっとも、英語の一人称単数の主語になる単語はほぼ I 一択ですが…
そんな中でガーギは英語の台詞においても非常に特徴的な一人称を使うキャラクター。
その一人称とは一体どんなものかと言うと…
Now Gurgi remembers! Yes, yes!
コルドロン 00:15:09~
ねえ! ガーギ、やっとその豚、思い出したよ!
こちらはヘン・ウェンの居場所を知っているかターランに尋ねられる場面でのガーギの台詞。
見ての通り、ガーギは自分の名前を一人称にしているのです!
日本語でも小さい子どもが自分のことを指すときに自分の名前を使っている様子はよく見かけますよね。
“自分の名前=一人称”が幼さやたどたどしい雰囲気を表すという感覚は、どうやら英語圏でも同じのようで、たとえば、
- 『リロ&スティッチ』のスティッチ (地球の言葉を覚えたてですもんね!)
- 「セサミストリート」のエルモ (彼の年齢は3歳半だそうです)
といったキャラクターは、台詞によ~く注目していると、自分の名前をときどき or 常に一人称に使っています。
(特にエルモは Elmo を代名詞に置き換えるときも I ではなく he を使うという徹底ぶり…!)
さて、もし『コルドロン』をまだ見たことがないかたが、ここまでの説明を読むと、
スティッチやエルモと同じような喋り方をするなんて、ガーギってやっぱり可愛いキャラクターなんだね^^
と思われるかもしれませんが、そうはいかないのがガーギの面倒なところでもあり面白いところでもあり…
ということで、分析は次の章に続きます。
【注目台詞その2】食い意地MAXの愉快な造語
黙っていれば可愛い小動物キャラなのに、出会いの瞬間からターランに邪険に扱われるガーギ…
その理由のひとつが、食べ物への執着です。
そもそも出会ったきっかけも、ヘン・ウェンをおびき出すためにターランが取り出したリンゴをガーギが盗もうとしたからなので、そりゃあ第一印象は最悪ですよねw
その一連の場面の中で、ターランがベストの内側にしまったリンゴをガーギが探し回りながら言う台詞がこちらです。
Munchings and crunchings in here somewhere!
コルドロン 00:15:28~
ところで、例のむしゃむしゃ、どこだい?
そもそも常に文法がしっちゃかめっちゃかなガーギの台詞ですが、この台詞にいたっては、辞書を引いてもすぐには見当たらない不思議な単語まで登場して、さらにカオスな事態に。
一人前に複数形になっていますが、 munching や crunching なんて名詞は辞書のどこを見ても載っていません!
しかし、ガーギが何を言いたいのか、そのヒントになる単語はなんとか見つかりました!
munch … /mʌntʃ/ 【他・自動詞】(…を)(しばしば音を立てて)むしゃむしゃ[もぐもぐ]食べる
crunch … /krʌntʃ/ 【他動詞】…をポリポリ[ガリガリ]かむ
munch に crunch 。
どちらも豪快に食べ物を食べる様子を表現するときに使う動詞です。
ガーギの台詞に登場した munchings と crunchings は、これらの動詞の -ing 形に -s をつけたものらしく、どうやら彼の中ではこれらの単語は食べ物を指しているみたいです。
ガーギの造語なので日常会話での実用性はゼロですが、それでも munchings や crunchings って声に出して言ってみると、口をもぐもぐさせてものを食べている動きが感じられる響きで、食い意地のはっているガーギのキャラにすごくマッチしていますよね!
「むしゃむしゃ」という吹替の日本語訳も、この発音の響きの面白さを日本語の表現に落とし込んでいてお見事!
ガーギは原作にも登場するキャラクターなのですが、この表現は原作にあるものなのか、それともディズニーのオリジナルなのか、少し気になるところ…
日常生活では使えない、テストにも絶対に出ない表現ですが、こういう楽しい英語表現に出会うと私はなんだか嬉しくなっちゃいます♡
こんな面白い表現が楽しめるのも、物語で英語を学ぶ醍醐味のひとつだと思います。
【注目台詞その3】ターランは“王子様”?
幼い雰囲気の喋り方に、食いしん坊属性…
ここまでの特徴を見ていると、やっぱりガーギって“可愛い”属性のキャラクターのような気もしてきますが、それでも言動にどうにも胡散臭さがあるのがガーギの面白いところ。
そう感じさせる理由のひとつが、彼独特の相手に媚びへつらうような言動だと私は思っています。
そして、それがよく表れているのが、ガーギがターランを呼ぶときに使う表現です。
Great prince give poor starving Gurgi munchings and crunchings.
コルドロン 00:13:08~
こりゃ王子様から腹をすかせたガーギにはすごい贈り物。
If Great Lord go into evil castle, poor Gurgi will never see his friend again!
コルドロン 00:18:05~
あんな悪党の巣へ行ったらおしめえだ。このガーギには友達はできないらしい!
(日本語吹替の「おしめえだ」という独特の言い回し、文字に起こすとますます面白いですね…!w)
prince 「王子」に lord 「主人」(ここでは Great Lord で“ご主人様”のようなニュアンスでしょうか)!!!
いくら調子に乗りやすいタイプのターランとはいえ、こんな見え透いたお世辞のような呼び方をされたところで、嬉しくともなんともありませんよねえw
初対面の相手にいきなりこんな呼び方をするところからも、ガーギがただのお腹をすかせた純真無垢な小動物ではなく、相手に媚びるずる賢さも兼ね備えた生き物だということが伝わってくるかと思います!
しかし、ガーギが相手に媚びるのは、どうやら食べ物と同じくらい“友達”というものを強く欲しているからのようで…
この項で紹介したガーギの2つの台詞のうちの後者は、ガーギの制止を振り切ってターランがヘン・ウェンを救いにホーンド・キングの城にひとりで乗り込んだ後の台詞なのですが、友達になれそうな相手を失ってしまった彼の失望が感じられる内容になっています。
この“友達が欲しい”という想いが、映画の終盤でのガーギの活躍の原動力になっているんでしょうね!
【まとめ】英語で感じるキャラクターの個性
最後に今回の記事の内容をおさらいしましょう♪
今回の記事ではガーギの英語の台詞に注目して彼のキャラクターに対する理解を深めました。
・自分のことや相手のことをどう呼んでいるかは、日本語でも英語でもそのキャラクターの性格を知る重要な手がかりになるよ
・時には面白い造語を作るキャラクターも! その語源を調べたり響きを味わったりするのも楽しいよ
日常会話のお手本にはなりませんが、それでも台詞の中に独特の英語表現がたっぷり詰まっているキャラクター、ガーギ。
少し鬱陶しいけれど面白い… そんな台詞をこの後もたくさん聞かせてほしいですね!


コメント