【塔の上のラプンツェルで英語学習】プロポーズはどちらから? 謎の〝間〟の理由

学習記録

Momiji が実際に Disney+ の作品を使って勉強する中で、英語的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った場面を、解説とともにご紹介♪

今回は『塔の上のラプンツェル』より、ユージーンの台詞の謎の間の理由を探ります。

【今回の場面】ラプンツェル&ユージーンのキュートな掛け合い♡

長期間にわたって取り組んできた『塔の上のラプンツェル』編の学習記録も今回の記事が最終回
最後の台詞はもちろん、ラプンツェルが本物の家族のもとへ戻り、王国がお祝いムードに包まれる最高にハッピーなラストシーンから取り上げます。

『塔の上のラプンツェル』の物語は、そもそもユージーンの語りで幕を開けたんでしたよね。

↑もう取り上げたのが1年以上前(!)になるので、復習にそのときの記事を置いときます。

なので映画の締めくくりも、ユージーンのナレーションでハッピーエンドを迎えた登場人物たちの近況を説明してくれるスタイルになっています。

フックハンドをはじめとする〝かわいいアヒルの子〟のならず者たち、マキシマス、パスカル…
みんなとても幸せそうで、見てるこっちもハッピーになれますね。
個人的には「誰にでも夢はある」でロマンスを望んでいたあの男の人に素敵なお相手が見つかったというくだりが微笑ましくて大好きです。
良かったね~♡

だけど、みんながいちばん気になるのはラプンツェルとユージーンのその後ですよね!

ユージーンは吹替版だと次のようにラプンツェルとの関係を語ります。

教えてやるよ、結婚しようって何年も何年も何年もせがまれて…
仕方なくオーケイしてあげた。

塔の上のラプンツェル 01:30:49~

大好きなユージーンにグイグイ結婚を迫るラプンツェル…
想像するとそれはそれでとても可愛いのですが…

ここでラプンツェルがナレーションに乱入!
〝何勝手なこと言ってるの?〟とでも言いたげな彼女の様子に折れて、ユージーンはプロポーズはラプンツェルからではなく自分からだったことを認めるのでした。

なんなんでしょう、この甘すぎるイチャイチャやりとり!!!
本当に幸せいっぱい可愛さいっぱいのラストシーンですよね♡

しかし、何度もこの場面を見返すうちに、先ほど紹介したユージーンの台詞の中に、私は若干違和感のある箇所を発見しました。
そして、その謎を解く鍵は、やはり英語版の台詞にありまして…

今回の記事ではこのユージーンの台詞の謎に迫ります!

ユージーンの説明の謎の〝間〟

ユージーンがラプンツェルとの結婚の経緯について語る台詞で、私が違和感をおぼえた部分にマーカーを引いてみました。

教えてやるよ、結婚しようって何年も何年も何年もせがまれて
仕方なくオーケイしてあげた。

塔の上のラプンツェル 01:30:49~

えっ? 〝…〟の部分?

というツッコミがありそうですが、はい、そうなんです。
私が気になったのは「せがまれて」と「仕方なく」の合間に発生している〝間〟なんです。

まるで何か意外な事実を発表する前のように、ユージーンはこの部分でしっかり間を置いてから、ラプンツェルからのプロポーズを受け入れたことを説明しています。

そんなにためてから言うことか!?

というのが、この間に気づいたときの私の正直な感想でしたw

そりゃあユージーンは自由人ですから、ラプンツェルと結婚することなく新たな冒険に旅立つ…という可能性もなくはないですがw
でも違和感はやっぱり拭えません。

これはもしや、英語の台詞を日本語に訳したときに、
どうしても埋め切れない意味のギャップがあったのでは?

英語オタクの直感でそう思った私は、英語版の台詞にも目を向けてみることにしました。

英語版のユージーンの台詞、徹底解説!

ユージーンがラプンツェルからのプロポーズを承諾するまでを説明する台詞が、英語版では元々どんな台詞だったのか確認してみましょう!

I’m pleased to tell you that after years and years of asking and asking and asking…
I finally said yes.

塔の上のラプンツェル 01:30:49~

英語で見てみると結構長い文に感じますが心配は無用!
順を追って文の構造を解説していきますね。

まず I’m pleased to tell you の部分。
pleased は、動詞の please 「〈人など〉を喜ばせる」から派生して生まれた形容詞で、「…してうれしい」という意味があります。

pleased … /plɪːzd/【形容詞】[be ~ to do]…してうれしい; 喜んで…する

なので I’m pleased to tell you を直訳すると〝私は喜んであなたに教えます〟という意味になります。
吹替の「教えてやるよ」の部分にあたるわけですね!

そしてユージーンが教えてくれる内容が接続詞の that の後に書かれています。
すごく長い文が続いているように見えますが、よく見ると実は同じ単語が何度も繰り返し登場していることに気づくはずです。

after years of yearsyears を繰り返すことで〝何年も何年も経った後〟という意味を表しています。

そしてその何年もの間に何が起きたかというと…
of asking and asking and asking… と、ask の -ing形がこれでもかというほど続いていますw

ask は〝質問する〟という意味のイメージが強いかもしれませんが、〝頼む〟という意味でもよく使われる動詞です。

ask … /æsk|ɑːsk/【自動詞】〈人・広告などが〉〔物・事・人を〕求める、頼む

ここでは文脈から考えて、ラプンツェルが

とお願いし続けているような、そんなイメージですね。

何年も何年も、結婚してくれと頼んで頼んで頼み続けて…
で、 I finally said yes〝私=ユージーンはようやくイエスと答えた〟となるわけです。

違和感の鍵は〝主語〟にあり!

日本語吹替でも英語でも、特に意味は大きく違わないように見えるユージーンの台詞ですが…
実は最大の違いは after years and years of asking and asking and asking… の部分にあります!

吹替では「結婚しようって何年も何年も何年もせがまれて…」という日本語訳になっていたこの部分。
誰がせがんでいるのか特に主語は明言されていませんが、ユージーンが「せがまれて」といわゆる受動態の表現をしていることから、日本語話者なら十中八九、

ユージーンがラプンツェルから〝結婚しよう〟とせがまれたのか…

と解釈することでしょう。

一方の英語版はというと、こちらも after years and years of asking and asking and asking… というフレーズの中で、誰が ask しているのかという主語は特に明言されていません
しかし日本語と違うのは、英語の場合は主語が明言されていないせいで ask の主語がラプンツェルの可能性とユージーンの可能性の両方が考えられるいうこと

むしろ、

  • (実際の世の中には例外も多々あることは大前提として)〝プロポーズは男性から女性にするもの〟という固定観念
  • 映画の中で描かれてきたラプンツェルとユージーンの関係性

といった要因から、英語でこの映画を見ている英語話者は、ユージーンのこの台詞を聞いて、ユージーンがラプンツェルに結婚を頼み続けている様子を想像する人が圧倒的に多いはずです。

しかし、その後ユージーンの口から出てくる I finally said yes というフレーズで、プロポーズに対してイエスと答えたのは I = 話し手のユージーンだと発覚します。

観客はここでようやく

えっ? 結婚をせがんでいたのは
ユージーンじゃなくてラプンツェルだったの!?

と気づくわけです。

そんな前フリ(主語は明確にせず〝再三にわたるプロポーズの後〟という内容を語る)と種明かし(プロポーズにイエスと答えたのはユージーン=プロポーズをしてきたのはラプンツェル)の間にあるのが、私が吹替版で違和感をおぼえた〝間〟だったのです!
この〝間〟の前後で話が観客の予想とは逆の方向にひっくり返るというジョーク的な仕掛けが英語版にはあったというわけですね。

〝せがむ/せがまれる〟という態の違いで主語がわかってしまう日本語吹替版では味わえない、まさに英語版でのみ楽しめるユージーンの最後のお茶目な嘘
ぜひ映画のラストシーンをもう一度見返して楽しんでみてください!

【まとめ】これだから英語と日本語の台詞比較は面白い♪

最後に今回の記事の内容のおさらいです♪
今回の記事ではユージーンの台詞を日本語と英語で比較して、台詞の中の微妙な〝間〟の理由を探りました。
結果的に〝その文の動作の主語が誰か?〟という部分が、日本語と英語の微妙な意味の違いを生んでいることがわかって、改めて言葉って奥が深いな~と感じました♡

【『塔の上のラプンツェル』で英語学習】シリーズもこれでようやく完結となりました!
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました!

次の物語でも楽しく英語に触れていきましょうね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました