ディズニー全長編アニメ映画の英語と日本語タイトルを比較してみた。【第1回】『白雪姫』~『メロディ・タイム』編

コラム

長年に渡って愛されているウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション映画作品。
しかし、日本ではお馴染みの映画のタイトルが、原語である英語版ではまったく違う!ということもしばしば…
本シリーズでは、そんなウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション作品のタイトルを、英語と日本語で徹底比較していきます。
第1弾のこの記事では『白雪姫』から『メロディ・タイム』までの10作品を取り上げます。

はじめに ~ 凡例

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション作品の原題と邦題を比較していく本記事。
原題と邦題の関係性が次の5つのうちのどれにあたるかを1作品ずつ分析していきます。

  1. 原題をそのままカタカナ表記
  2. 原題の一部をカタカナ表記
  3. 原題を日本語に直訳
  4. 原題の日本語直訳をベースに一部改変
  5. 原題とまったく異なる日本語タイトル

『白雪姫』(1937)

最初に取り上げるのは、もちろんウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション記念すべき第1作目の『白雪姫』
有名なグリム童話が原作の元祖プリンセスストーリーです。

日本語のタイトルの“白雪姫”は、もちろん主人公のお姫様の名前。
雪のように白い肌を持つことから、この名前で呼ばれています(ちなみに2025年に公開された実写版では、“吹雪の夜に生まれ、生き延びたから”という別の理由付けがされています)

もちろん“白雪姫”というのは、漢字表記であることからもわかるように、日本独自の名前です。
英語での白雪姫の名前は Snow White といいます。

snow … /snou/ 【名詞】雪

white … /waɪt/ 【形容詞】白い 【名詞】白

それじゃあ『白雪姫』の原題は Snow White なんだね!

と思いたくなりますが、実は『白雪姫』の原題はこのようになっています。

Snow White and the Seven Dwarfs

なんか Snow White の後ろにやたらたくさん単語が並んでいるぞ!?

実は、原題は Snow White で終わり、ではなく!
その後ろに and 「…と…」という等位接続詞で the Seven Dwarfs というフレーズがくっついています。
seven という単語を目にした時点ですでに察しがついているかたも多いでしょうが、dwarf の意味はというと…

dwarf … /dwɔːrf/ 【名詞】魔力を持つ小びと

そう、dwarf は“こびと”という意味!

原題を直訳すると〝白雪姫と七人のこびと〟となるわけですね。

確かに白雪姫に負けず劣らず登場シーンが多い七人のこびとたち。
白雪姫とのW主役レベルの重要キャラととらえられていたことが、この原題からも伝わってきます。

ということで、『白雪姫』は原題からこびとたちにまつわるフレーズを削ったものと考え、④原題の日本語直訳をベースに一部改変に分類いたします!

↑こびとたちの英語と日本語それぞれのお名前も比べてみると楽しいよ!

『ピノキオ』(1940)

長編アニメーションの第2作目は、イタリアの小説家であるカルロ・コッローディ作の『ピノッキオの冒険』を原作とした冒険ファンタジー、『ピノキオ』です。

願い星の魔法の力で命を吹き込まれた木の人形、ピノキオ。
勇敢で正直で思いやりがあれば、本物の人間の子どもになれるとのことですが、その道のりは決して平坦ではなく…

ディズニーの永遠のテーマソングともいえる「星に願いを」を生んだ作品としても非常に有名ですね!
そして Momiji 的にもディズニーの長編アニメーションの中でも5本の指に入る傑作だと思っております…!

邦題では、主人公の名前である“ピノキオ”がそのままタイトルにも採用されており、それは英語でも同様です。

Pinocchio

ということで、こちらは①原題をそのままカタカナ表記に分類します!

『ファンタジア』(1940)

3作目に登場するのは『ファンタジア』
ミッキーが魔法使いの弟子を演じている印象が特に強いので、そのシークエンスそのものが『ファンタジア』という作品だと思っているかたも多いかと思いますが…
『ファンタジア』は、クラシック音楽に映像をつけた、いわば“クラシックのミュージックビデオ”的な8つの短編アニメーションで構成されるオムニバス作品
実験的すぎて公開当時の興行収入は散々だったようですが、今ではアニメーション史に燦然と輝く名作として高~く評価されています♪

こちらの作品も、原題と邦題がまったく同じという①原題をそのままカタカナ表記パターン。

Fantasia

ちなみに“ファンタジア”というと、あまりにこの映画の印象が強すぎて、ディズニーの造語だと思われがちですが、実はそうではありません

fantasia … /fæn’teɪʒə/ 【名詞】《音》幻想曲

fantasia とは、「幻想曲」という「形式にとらわれず、作者が自由に楽想を展開させて作る曲。ファンタジー。」(『デジタル大辞泉』小学館、2016)という音楽形式のことを指すのだそうです。

『ダンボ』(1941)

お次に登場するのは『ダンボ』
大きな耳ゆえに周囲から笑いものにされていた子ゾウのダンボが、コンプレックスの耳を翼代わりにして空を飛ぶことで、一発逆転、サーカスでいちばんの人気者になるという痛快な物語です。

動物が主人公のディズニーの長編アニメーションはたくさんありますが、(『ファンタジア』の一部シークエンスの主役が動物なのを除けば)本作がその記念すべき第1作目ということになりますね!

ダンボが母親のジャンボに子守唄を歌ってもらう場面は涙なくして見れない名場面ですし、あとサイケデリックなピンクの象の場面も世界中の子どもたちに恐怖を植えつけた迷場面ですw

この作品も邦題・原題ともに主人公の名前である〝ダンボ〟がそのまま映画のタイトルにもなっているスタイルです。

Dumbo

ということで、この作品の分類も①原題をそのままカタカナ表記です。

『バンビ』(1942)

動物主人公作品が続きますね~。
4作目は“森の王子”として生まれた子鹿のバンビが、友達との出会いや家族との別れ、そして恋といった経験を重ね、一人前の王様となるまでを描いた『バンビ』です。

バンビやとんすけ、そしてミス・バニーといったキャラクターの可愛らしいイメージが先行しがちですが、実はどちらかというと『ライオン・キング』に近い、熱い生命賛歌的作品。
若き日の手塚治虫に大きな影響を与えたことでも有名です。

この作品も『ピノキオ』や『ダンボ』と同じく、邦題・原題ともに、主人公の名前である〝バンビ〟が映画そのもののタイトルになっています。

Bambi

ということで、この作品の分類も①原題をそのままカタカナ表記

まずいな、 今回の記事、“主人公の名前=タイトル=日本語でもそのまま”パターンばかりだ…!w

『ラテン・アメリカの旅』(1943)

第二次世界大戦が始まったことで、ひとつの物語を豪華な長編アニメーションに仕上げるだけのパワーを失ってしまったディズニー。
なのでここからはしばらくの間、複数の短編・中編作品を組み合わせたオムニバス形式の作品が続きます。

その第1弾にあたる『ラテン・アメリカの旅』は、タイトルの通り、中南米諸国を舞台にした作品の詰め合わせ
パークでも人気のオウムのホセ・キャリオカはこの作品が映画デビュー作です。

さて、この作品の原題ですが、ずばり、日本語タイトルとはまったく異なるタイトルです!
さらに言うなら、英語ですらありません

Saludos Amigos

そう、このタイトルはスペイン語
saludo は“挨拶”、amigo は“友達”という意味なのだそうです。
そういえばメキシコの某ミュージシャンが言ってましたね、アミーゴのためなら天も地も動かす、って…(遠い目)
日本語にするなら“こんにちは、友よ”といったところでしょうか。

友好ムードは存分に伝わってきますが、邦題にある「ラテン・アメリカ」や「旅」というワードに関連する単語は一切含まれていません

ということでこちらは⑤原題とまったく異なる日本語タイトルに認定です!

『三人の騎士』(1945)

中南米を舞台にしたオムニバス映画第2弾は『三人の騎士』
この作品でパンチートが初登場し、晴れて“三人の騎士”が全員揃ったわけですね!

「さむがりやのペンギン パブロ」や「空飛ぶロバ」のシークエンスも、子どもの頃に何度も絵本で読んだので個人的に印象に残っています♡

前作の『ラテン・アメリカの旅』の原題がスペイン語だったので、今回ももしかしてスペイン語のタイトルだったりして…という予想が一瞬脳内をかすめましたが、『三人の騎士』の原題は一応英語タイトルです。

The Three Caballeros

“一応”と言葉を濁したのは、 caballero 元々スペイン語の単語で、それが英語でもそのまま使われているから。

caballero … /,kæbə’leərou/ 【名詞】スペインの紳士、騎士

そんな「騎士」が three 、すなわち三人ということで、邦題の『三人の騎士』は原題を直訳したものということになります。
というわけでこちらは③原題を日本語に直訳に認定です!

『メイク・マイン・ミュージック』(1946)

今回紹介する作品の中で… というよりも、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーションの中で唯一 Disney+ (ディズニープラス)で配信されていないのが、この『メイク・マイン・ミュージック』です。
といっても、もう著作権が切れているので、パブリックドメインのDVDが出ていたりはしますが…

2001年に講談社から出版された『ディズニーアニメーション大全集』で柳生すみまろさん(柳生さんのこと覚えてるよ~!ってかたいらっしゃいますでしょうか? 一定の世代以上の「ディズニーファン」読者のかたにとっては憧れの存在ですよね…!)の言葉を借りるなら、この作品は「『ファンタジア』のポップス版」
多彩なジャンルの音楽に合わせて様々なタイプのアニメーションが楽しめる内容になっています。

そんなこの作品の邦題、見るからに原題をそのままカタカナに書き起こした感じがしますが…

Make Mine Music

…はい、案の定その通りでしたねw
どこからどう見ても①原題をそのままカタカナ表記です。

ただ、このタイトルが日本語でどういう意味なのかについては、私も非常に悩みまして…
本っっっ当にそのまんま直訳すると“私のものを音楽にする”という感じですが、それではあまりに意味不明。

何か手がかりはないかと参考になる例文を探しまくった結果、電子辞書でこんな例文を見かけました。

Make mine gin.
飲み物はジンにしてください

『ジーニアス英和大辞典』大修館書店、mine1の項より

どうやらレストランやバー、カフェなどで何か注文するときに、こういう言い回しをすることがあるのだそうです。

なので、あくまで私の推測ではありますが、 Make Mine Music は、レストランで注文をする感覚で“私に音楽をくださいな”と言っているような、そんなタイトルではないかと思っています。
…が、くどいようですがあくまで私の推測なので、もっと正確な文法的説明ができるかたがいらっしゃったら、ぜひご一報ください!

『ファン・アンド・ファンシー・フリー』(1947)

こちらは「ボンゴ」と「ミッキーと豆の木」の2本から成るオムニバス形式の長編アニメーション、『ファン・アンド・ファンシー・フリー』

「ボンゴ」については、私の中では幼少期に呼んだ絵本の影響で「子ぐま物語」というタイトルの印象が強いですが、今はこちらが正式タイトルなんですね…!
そして「ミッキーと豆の木」でミッキーがパンを薄~く薄~く切るシーンは、もはや立派な定番ミームとして、ディズニー好き以外にも幅広く知られていることかと思いますw

この作品も、①原題をそのままカタカナ表記のパターンです。

Fun and Fancy Free

その意味するところはというと…

まず fun については、それほど珍しい単語ではないかなと思います。

fun … /fʌn/ 【名詞】楽しみ、面白み

そして後半の and Fancy Free は、類似の表現としてこんなものが見つかりました。

footloose and fancy free … /’futluːs ənd ’fænsi frɪː/ 気ままでのんきな

これらの意味をくっつけると“楽しく、気ままに、のんきに”といったところでしょうか?
実際、映画のオープニングソング(曲名も映画のタイトルと同じです)もとにかく能天気な歌詞が印象的なので、そちらも聞いていただくと、このタイトルの意味するところをより強く感じることができますよ!

『メロディ・タイム』(1948)

今回の記事のラストを飾る10本目の長編アニメーションは『メロディ・タイム』
『メイク・マイン・ミュージック』とほぼ同じようなコンセプトで、個性豊かな7つの楽曲をモチーフにした7種のアニメーションを楽しめる作品です。

個人的にはクリスマスソングの歌のビデオで何度となく見た「冬の出来事」の絵本のような可愛らしいアニメーションが印象に残っています♡

そんなこの作品のタイトルも①原題をそのままカタカナ表記のパターン。

Melody Time

直訳すると“メロディの時間”という感じでしょうか。
結構あれこれ調べながら意味を考えた『メイク・マイン・ミュージック』や『ファン・アンド・ファンシー・フリー』に比べると、拍子抜けしちゃうくらいシンプルなタイトルですね!w

【まとめ】ディズニー長編アニメーション映画 1〜10作目の原題/邦題比較一覧

最後に今回紹介したディズニー長編アニメーション映画10本の原題と邦題をひとめで比較できるように一覧にしてみました!
分類もあわせて表示しています。

No.邦題原題分類
1白雪姫Snow White and the Seven Dwarfs④原題直訳一部改変
2ピノキオPinocchio①原題すべてカタカナ表記
3ファンタジアFantasia①原題すべてカタカナ表記
4ダンボDumbo①原題すべてカタカナ表記
5バンビBambi①原題すべてカタカナ表記
6ラテン・アメリカの旅Saludos Amigos⑤原題に関連なし
7三人の騎士The Three Caballeros③原題直訳
8メイク・マイン・ミュージックMake Mine Music①原題すべてカタカナ表記
9ファン・アンド・ファンシー・フリーFun and Fancy Free①原題すべてカタカナ表記
10メロディ・タイムMelody Time①原題すべてカタカナ表記

今後もこのシリーズはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーションの全作品比較制覇を目指して不定期に更新予定です♪
次回の更新もどうぞお楽しみに♡

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