Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪
今回は『リトル・マーメイド』より、関係代名詞や不定詞の省略について学べるスカットルの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】的確?的外れ?スカットルからのアドバイス
今回取り上げる台詞はこちら。
If you wanna be a human, the first thing ya gotta do is dress like one.
リトル・マーメイド 00:48:08~
アースラとの契約で人間の姿になり、なんとか浜辺までたどり着いたアリエル。
言葉を話すことはできませんが、セバスチャンやフランダー、スカットルがそばにいるおかげで、彼女の周囲は相変わらずにぎやかです♪
まだ自分の足で上手く立ち上がることができず、服すら身につけていないアリエルに、スカットルがまずおこなったアドバイスが、こちらの台詞です。
ここまでのストーリーの中でも、フォークを〝カミスキー(英語では dinglehopper)〟というヘアセット用の道具、喫煙用のパイプを〝チビホーン(英語では snarfblatt)〟という楽器だと紹介するなど、ディズニー史に残るぶっとんだ勘違いを披露してきたスカットル。
果たして今回のアドバイスはちゃんと役に立つのでしょうか…?
このスカットルの台詞を読み解く鍵は、関係代名詞や不定詞!
…なのですが、台詞の中には that も which も to も見当たりません。
実はこの文では、関係代名詞や不定詞が省略されてしまっているのです!
どういうときに関係代名詞や不定詞の省略が起きるのかを確認しながら、スカットルのアドバイスを読み解いていきましょう♪
【単語・文法チェック】もしも人間になりたいなら…
まずは本題の〝関係代名詞や不定詞の省略〟以外の文法や単語をチェックしていきましょう!
①If you ②wanna be a human, the first thing ya ③gotta do is dress like one.
①【文法ポイント】接続詞の if
この if は「もし…ならば」という意味の接続詞。
〝…〟の部分にはif の後ろに続く文の内容が入ります。
if の最も有名な使い方ですね!
②【略式表現】 wanna
プリンセスであるアリエルや王族に仕えるセバスチャンと比べると、かなりくだけた口調なのがスカットルの台詞の大きな特徴です。
それゆえに彼の台詞には略式表現もたくさん登場し、そのひとつがこの wanna 。
want to が縮まってひとつの単語になったもので、意味も want to とまったく同じ、〝~したい〟と訳せばオッケー!
英語の日常会話の中では、非常によく登場する表現です。
なので you wanna be a human は日本語に訳すと〝あなたは人間になりたい〟。
さらにこれに①で確認した if の意味を足すと、〝もしあなたが人間になりたいのなら〟という意味になります。
③【略式表現】 gatta
こちらも②の wanna と同じく略式表現。
今度は (have) got to が縮まってひとつの単語 gatta になりました。
〝~しなくては!〟と言うときによく使われます。
【読解のポイント】関係代名詞・不定詞の省略を見抜け!
それでは本題!
どんなときに関係代名詞の that や which、そして不定詞の to が省略されてしまうのか?
一緒に確認していきましょう♪
関係代名詞の省略
関係代名詞とは、以前の記事でも説明した通り、名詞(先行詞と呼びます)を文で修飾したいときに、その名詞と文をドッキングする役目を果たすもの。
先行詞が人なのか物なのか? また、ドッキングした文の中での先行詞の役割が主格なのか?所有格なのか?目的格なのか?によって、使う関係代名詞が変わるのも大きな特徴です。
どんな先行詞&格のときに、どんな関係代名詞が使われるか?を一覧表にしたものがこちらです。
主格のとき | 所有格のとき | 目的格のとき | |
先行詞が人 | who that | whose | whom who that |
先行詞が物 | which that | whose | which that |
この中で〝関係代名詞を省略しても OK !〟とされているのが、ズバリ、目的格の関係代名詞。
たとえば、次のような場合は、 ( ) の中の関係代名詞は入れても入れなくてもどちらでも大丈夫なのです!
the boy (whom) I met yesterday (私が昨日会った少年)
the book (which) he bought yesterday (彼が昨日買った本)
特に会話文などカジュアルな場面では省略されることが多いので、名詞の後にいきなり主語、述語…と文が続き始めたら、〝これは名詞の内容を説明しているのかも!?〟と、関係代名詞の省略をまず疑ってみてくださいね♪
不定詞の省略(原形不定詞)
(厳密に言うと〝省略〟とは少し違うかもしれないのですが、今回紹介する事例はかなり〝省略〟寄りの話なので、まとめて説明しますね)
不定詞と聞くと、 to do という公式が思い浮かぶかたも多いと思いますが、実は不定詞には〝原形不定詞〟という、動詞の原形だけで to do の不定詞と同じ意味を表わせる表現があるのをご存知でしょうか?
普段はあまり意識することは少ないですが、たとえば使役動詞や知覚動詞で使われる動詞の原形も、文法的には原形不定詞とされています。
ちなみに知覚動詞についてはこちらの記事でも説明していますので、参考にどうぞ♪
そして、使役動詞や知覚動詞以外にも、原形不定詞が使われるシチュエーションとして、名詞用法の不定詞(〝~すること〟と訳すタイプのものですね!)が be 動詞の補語になっている場合、というのがあります。
例えば、以下のような文であれば、 to 不定詞と原形不定詞、どちらを使っても正しい英文となります。
(ただし、原形不定詞を使う方が、少しくだけた表現という印象になります)
All I want to do is (to) take a vacation. (私はただ休暇が取りたいだけだ。)
The only thing you can do is (to) work hard. (あなたにできることは一生懸命働くことだけだ。)
…なんだか少しネガティブな例文が多くなりましたが、こちらも会話ではよく見かける原形不定詞の使い方ですので、ぜひ覚えてくださいね♪
・目的格の関係代名詞は省略が可能
・名詞用法の不定詞が be 動詞の補語になっている場合、
to 不定詞と原形不定詞、どちらの形で使用しても問題ない
【日本語訳に挑戦!】人間らしく振る舞う第一歩
それでは、先ほどの関係代名詞と不定詞の話を踏まえた上で、もう一度スカットルの台詞を見てみましょう♪
If you wanna be a human, the first thing ya gotta do is dress like one.
この台詞の中にも、関係代名詞の that が入っていた場所、不定詞の to を入れてもいい場所があります。
一体どこだかわかりますか?
…
正解はこちら!
If you wanna be a human, the first thing (that) ya gotta do is (to) dress like one.
まず that が入るのは、 the first thing と ya gotta do の間。
the first thing を直訳すると〝最初のこと〟となりますが、これだけでは何のことやらよくわかりませんよね。
そんなこの the first thing の内容を説明しているのが ya gotta do の部分。
the first thing と Ya gotta do the thing. (あなたはそのことをしなければならない。)という文が、 that という関係代名詞でドッキングされているのです!
この部分を日本語に直訳してみると、〝あなたがしなければならない最初のこと〟といったところでしょうか。
だけど、先ほど学んだとおり、この that は目的格の関係代名詞なので省略が可能!
ということで、スカットルの台詞には 関係代名詞の that は登場しないのでした。
では、不定詞の to のほうはどうでしょうか?
dress の直前に be 動詞の is があることからもわかるように、先ほど確認した〝名詞用法の不定詞が be 動詞の補語になっている場合〟は、 to 不定詞でも原形不定詞でもどちらでもオッケー〟という条件に当てはまるため、ここでは dress という原形不定詞が使われているのです。
…と、ここで〝あれ? dress って動詞なの? 名詞じゃないの?〟と思ったかたもいるかもしれませんね!
たしかに dress には、「婦人服」という名詞の意味も、「服を着る」という自動詞の意味も両方あります。
しかし、名詞の dress は可算名詞なので、もし名詞として使われるなら、冠詞の a が付くなり複数形になるなりしていないと、文法的に辻褄が合わないので、この dress は動詞として訳すのが自然でしょう♪
以上を踏まえて台詞全体を直訳すると…
〝もしあなたが人間になりたいなら、あなたがしないといけない最初のことは、人間のように服を着ることです。〟
という感じになります。
おおっ!
スカットルにしては結構まともなアドバイスじゃありませんか!笑
いつものように公式の吹替の日本語訳もチェックしておきましょう。
If you wanna be a human, the first thing ya gotta do is dress like one.
人間になりたきゃ、まずこんな服を着ないとね。
the first thing ya gotta do の部分が〝まず○○しないとね〟と訳されているあたりが、ナチュラルでわかりやすいですね!
みなさんもぜひ、関係代名詞の省略や原形不定詞を使いこなして、〝まず○○しないとね〟と英語で提案してみてくださいね!
サラッとこんなフレーズが出てきたら、とってもカッコいいですよ~!笑
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