Momijiが実際にDisney+の作品を使って勉強する中で、英文法的に〝気になるな〟〝おもしろいな〟と思った台詞を、文法の解説とともにご紹介♪
今回は『リトル・マーメイド』より、文型と make の用法について学べるアースラの台詞を取り上げます。
【今回の台詞】アースラとアリエルの契約
今回取り上げる台詞はこちら。
I will make you a potion that will turn you into a human for three days.
リトル・マーメイド 00:41:37~
エリックへの恋を諦められないアリエルは、フロットサム&ジェットサムの誘いに乗り、海の魔女アースラのもとを訪れます。
自分の魔法ならアリエルを人間に変身させることができると豪語するアースラが、アリエルに提示した契約の条件とは…?
ということで、この台詞は、「哀れな人々」の間奏部分で、アースラがアリエルに契約内容を説明する場面に登場します。
アリエルに深く考える隙を与えないようにするためなのか、この一連の場面のアースラはかなりのマシンガントーク!笑
しかし、ひとつひとつの単語や文法事項の難易度はそこまで高くないので、丁寧に分析していけば必ず
正しい意味をつかむことができますのでご安心を♪
特にこの台詞では、 make がどういう意味で使われているのか? この文は第○文型なのか?という点が読解の鍵になっています。
アリエルが無事にエリックと結ばれることができるよう、私たちもしっかり契約内容を吟味していきましょう!
【単語・文法チェック】薬の効き目はいつまで?
今回のメインであるmake と文型の話に入るまでに、その他の単語や文法ポイントについて、簡単にチェックしていきますね♪
I will make you a ①potion ②that will ③turn you into a human ④for three days.
①【単語】 potion … 〈特別な効き目のある飲み薬・毒薬などの〉1服
potion を辞書で引くと、上記のようなちょっと回りくどい説明と訳が見つかりますが、この台詞では単純に〝薬〟という日本語訳で問題ないでしょう。
日常ではそれほど使われることのない単語ですが、ゲーム好きなかただと〝ポーション〟と聞くと「ファイナルファンタジー」シリーズ、そして「キングダム ハーツ」シリーズの回復アイテムの名前でご存知かもしれませんね。
Momiji も「キングダム ハーツ」シリーズの大ファンなので、ポーションにはいつも大変お世話になっています…!笑
②【文法ポイント】関係代名詞の that
①の potion が〝薬〟という意味なのはわかったけど、一体どんな薬?
…という部分を説明するために使われているのが、関係代名詞の that です。
関係代名詞がどんな役割を果たすものなのか?については、前回の記事で詳しめに解説しております♪
今回の that の先行詞(=説明したい対象となる単語)は potion 。
そして that の後ろに続く文の中で、 potion は主格の役割を果たしています。
なので、訳すときには(ちょっと強引な書き方ですが)〝will turn you into a human for three daysする薬〟というふうに訳します。
③【単語】 turn A into B … A を B に変える
turn you into a human 、これを上記の辞書に乗っている意味に当てはめると、〝あなた(=アリエル)を人間に変える〟という訳になります。
これを②で説明した関係代名詞の that で potion とドッキングすると、〝あなたを人間に変える薬〟という意味が導き出されるというわけです!
④【文法ポイント】期間を表す前置詞の for
ディズニーファンのみなさんならもうご存知だと思いますが、アースラの薬でアリエルが未来永劫人間の姿でいられるわけではありません。
この薬の効果には期限がありますので、その点についてもアースラはこの台詞の中で説明してくれています。
for と聞くと「…のために」という訳が真っ先に思い浮かぶかたも多いかもしれませんが、for にはその他にも「…の間」という意味もあるのです。
その場合は大抵 a month (1ヵ月)や two weeks (2週間)など期間を表す言葉と一緒に使われるのですが、今回の台詞もまさにそのパターン!
for three days の意味は〝3日間〟、つまりアースラの薬でアリエルは3日間は人間の姿でいられる、というわけですね。
【読解のポイント】make の読解は文型に注意!
覚えてる? 英語の5文型
まずは、そもそも〝文型〟とは何だったか?というところからおさらいしましょう!
一部の例外を除き、英語の文には必ず主語と動詞がひとつずつ入っているのですが、それ以外にどんな要素が含まれているのかによって分類することができます。
その分類が大きく分けて5つあり、それがいわゆる〝5文型〟なわけです。
では、簡単ではありますが、その5つを紹介していきましょう
第1文型 S(主語) + V(動詞)
主語と動詞のみから成る文を第1文型と言います。
目的語や補語は登場しません。
The sun goes down. (太陽が沈む。)
※ the sun が主語、 goes が動詞。
第2文型 S(主語) + V(動詞) + C(補語)
主語と動詞に加えて補語がある文が第2文型です。
第2文型の文では、主語と補語がイコールの関係で結べることが多いので、見分けるときはそこがポイント!
This flower is beautiful. (この花は美しい。)
※ this flower が主語、 is が動詞、 beautiful が補語。
※ this flower (この花) = beautiful (美しい) という図式が成り立つ。
第3文型 S(主語) + V(動詞) + O(目的語)
主語と動詞に加えて目的語が1つ入っている文が第3文型。
こちらは主語と目的語がイコールの関係では結べないのが特徴です。
I bought a new car. (私は新しい車を買った。)
※ I が主語、 bought が動詞、 a new car が目的語。
第4文型 S(主語) + V(動詞) + O1(目的語1) + O2(目的語2)
主語と動詞に加えて目的語が2つ入っている文が第4文型。
日本語に訳すと〝O1 に O2 を○○する〟という訳になることが多いです。
She showed me a picture of her cat. (彼女は私に飼っている猫の写真を見せた。)
※she が主語、 showed が動詞、 me が目的語1、a picture of her cat が目的語2。
第5文型 S(主語) + V(動詞) + O(目的語) + C(補語)
主語と動詞に加えて目的語と補語が1つずつ入っている文が第5文型。
ここでは目的語と補語がイコールの関係で結べることが多いのが特徴です。
He calls me Mike. (彼は私をマイクと呼ぶ。)
※he が主語、 calls が動詞、 me が目的語、 Mike が補語。
※me (私) = Mike (マイク) という図式が成り立つ。
もちろん私も、日常で英文を読むときに、〝今のは第5文型だ!〟〝これは第3文型かな?〟と毎回意識しているわけではありません!笑
だけど、稀にあるのです… いろんな文型で使用可能な、ある意味便利である意味厄介な不思議な動詞が…!
あなどれない基本動詞・ make
そのいろんな文型で使える厄介な動詞のひとつが、今回のアースラの台詞でも使用されている make 。
おそらく学校の授業の中でも、かなり序盤で暗記することになる、超・基本単語のひとつだと思いますが、この make 、シンプルゆえにいろんな働きができる、あなどれない動詞なのです!
たとえば…
I made an apple pie. (私はアップルパイを作った。) 【第3文型】
He made the girl a wooden doll. (彼はその女の子に木彫りの人形を作ってあげた。)【第4文型】
This letter made him happy. (この手紙は彼を幸せにした。→この手紙を読んで彼は幸せな気持ちになった。)【第5文型】
こんなふうに、いろんな文型での使用パターンがあります。
第3文型・第4文型では、お馴染みの「〈物〉を作る」という日本語訳が当てはまりますが、第5文型では「O を C にする」という他の2つとは少し違った訳になるところがポイントです。
(ちなみに、マイナーな用法なのでここでは割愛していますが、 make で第1文型や第2文型の文も作れちゃいます…!)
見分け方のコツは、まず、品詞を手がかりに、O(目的語) と C(補語) になる単語がどれかを見極めること。
目的語になれる品詞は名詞のみ、補語になれる品詞は名詞と形容詞なので、これがわかればかなり候補となる文型は絞られてくるはずです。
そしてもうひとつは、〝第4文型の O1(目的語1)と O2(目的語2)はイコールの関係では結べない〟〝第5文型の O(目的語) と C(補語)はイコールの関係で結べる〟というルールに当てはめてみること。
たとえば、先ほどの第4文型の例文に登場する the girl (その女の子)と a wooden doll (木の人形) は、まったく別のものですよね。
それに対して、第5文型の例文の him (彼) と happy (幸せな) は、現在彼は手紙を読んで幸せな状態になっているので、(厳密に言うと〝イコール〟という表現は正確でないかもしれませんが)彼=幸せという図式が成り立ちます。
このルールを理解しておけば、 make が登場する英文をはじめ、いろんな英文の文型がスッと見分けられるようになりますよ~♪
・make は様々な文型の文で使うことができる、ちょっとややこしい動詞
・文型の見分け方のコツは、品詞を手がかりに目的語や補語にあたる単語を見極めることと、
第4文型・第5文型の場合は目的語候補・補語候補の2つの単語の関係性に注目すること
【日本語訳に挑戦!】アースラの申し出を読み取ろう
それでは、文型の見分け方のコツを踏まえた上で、もう一度先ほどアースラの台詞を見てみましょう!
I will make you a potion that will turn you into a human for three days.
この make が導く文は、果たして第何文型なのか…?
まず、 make の直後に you という代名詞があるので、これが1つ目の目的語であることは間違いなさそうですね。
さらに読み進めていくと、you の直後にまた別の名詞 a potion がいます。
名詞は目的語にも補語にもなれるので、この文は第4文型か第5文型の可能性が高くなってきましたね…!
ここで考えたいのが、 you と a potion の関係性。
この台詞はアースラがアリエルに対して言っているものなので、 you とはもちろんアリエルのこと。
では、アリエル= a potion (薬) という図式が成り立つかというと…
成り立ちませんよね!
アリエルと薬はまったく別物です。
これで S + V + O + C という組み合わせの第5文型である可能性はなくなったので、消去法で必然的にこの文は S + V + O1 + O2 という第4文型の文だということが判明しました!
辞書を引くと出てくる「O1〈人〉にO2〈物〉を作ってあげる」という訳に当てはめても、
〝私はあなた(=アリエル)に薬を作ってあげる〟
と、とてもしっくりくる日本語訳になりますね♪
ここにさらに【単語・文法チェック】でチェックした、関係代名詞の that 以下の that will turn you into a human for three days の意味をくっつけると…
〝私はあなた(=アリエル)に、あなたを3日間人間に変える薬を作ってあげる〟
という直訳が完成します!
おおっ! 直訳ですが、ちゃんと『リトル・マーメイド』のあらすじが伝わる日本語訳になりましたね!(自画自賛!笑)
そんなこの台詞、正式な日本語吹替版ではこんな訳になっています。
I will make you a potion that will turn you into a human for three days.
あんたを3日間だけ人間にする薬を作ってあげよう。
ほぼ直訳と同じ内容ですが、アースラらしい言葉遣いになっているところが良いですね!
今回のブログはここまでですが、実際のシーンではこの後も、その3日以内にエリックとキスすること、それができなければ人魚に逆戻りしてしまうこと、薬と引き換えに声を差し出さなければならないこと…などなど!
契約の条件が怒濤の勢いでアリエルに提示されます。
日本語で聞いていても説明についていくのに必死になってしまうような場面ですが、せっかく Blu-ray や Disney+ といった文明の利器がありますので、不利な契約にならないように、みなさんもアリエルと一緒にしっかりアースラの説明についていってくださいね~!笑
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