【今回の場面】一方その頃イザベルたちは…
パーティーの準備が整うまで気をそらすため、エステバンを船旅に連れ出すエレナとマテオ。
行き先は〝若返りの泉〟があると噂されるサンタロス島です。
若返って人生をやり直したいと切望するエステバンは、島に着くなりひとりで泉を探しに行ってしまいます。
エレナとマテオがようやく彼に追いついたときには…
なんとエステバンは泉の水を飲んで、若くてたくましい青年の姿になっていました!
いやあ、第4話にして早くも主要キャラのレアな青年時代の姿を見ることができるとは…
「アバローのプリンセス エレナ」のスタッフは、オタクが好む展開をなんてよくわかっていらっしゃるのでしょう!w
…しかし、今回の記事で注目したいのは、そちらのメインストーリーではありません。
今回のエピソードではサンタロス島での冒険と同時進行で、お城でパーティーの準備を進めるエレナの妹のイザベルの物語も描かれます
イザベルは頭脳明晰で発明が得意な10歳のプリンセス。
なんと声を演じるのは Netflix のドラマ「ウェンズデー」の主演でおなじみのジェナ・オルテガです。
ディズニー・チャンネルのアニメシリーズは日本語字幕がついていないものがほとんどなので、映画作品に比べて英語音声で観るハードルが高くなりがちですが、こういう情報を知ると、
英語音声でも観てみた~い!
気持ちがわいてきますよね♡
この場面ではパーティーで演奏する音楽の方向性をめぐって彼女と祖父のフランシスコが対立!
その中でふたりが使う英単語に、それぞれの性格の差が表れていてとても面白いのです!
まあ、なんといってもおじいちゃんと孫ですからね。
これだけ年齢が離れていたら価値観が違うのも無理ないですよね。
今回の記事では、そんな祖父VS孫の会話を通じて、ボキャブラリーを増やしながらキャラクターの個性もじっくり味わうという、英語オタク兼ディズニーオタクならではの視点で学習を進めていきたいと思います!
祖父VS孫娘 音楽〝対決〟を英語で表すと?
エステバンの誕生日パーティーでのイザベルの役目は、フランシスコおじいさまとバースデーソングを演奏すること。
発明が得意な彼女は、ギターとアコーディオンを合体させたギターディオン guitardion (guitar + accordion の造語)という新種の楽器まで用意して大張り切りです!
しかしイザベル好みのロックで派手な音色と編曲は、昔ながらの落ち着いた静かな音楽を好むフランシスコの耳にはどうにも合わなくて…
バースデーソングをめぐるふたりの意見は真っ向から対立してしまいます。
そこで助け舟を出してくれたのがルイーサおばあさま。
どちらの編曲がパーティーによりふさわしいか
お城の使用人たちにジャッジしてもらってはどう?
とふたりに提案してくれます。
それを聞いたイザベルは目を輝かせながらこんな台詞を言います。
A birthday song battle?
アバローのプリンセス エレナ シーズン1第4話 若返りの泉 00:07:05~
誕生日の歌のバトルね?
どの単語も日本語の中でもカタカナ語として定着しているので、ぱっと見ただけで意味が伝わってくるのではないでしょうか?
読んで字のごとくのバースデーソングバトルです!
お城の人たちにどちらの曲のアレンジが好みか尋ねるだけなのに〝バトル〟と銘打つところが、イザベルの好戦的な性格が出ていて面白いですねw
さて、一方のフランシスコおじいさまは、ルイーサの提案にどんな反応をしたでしょう?
穏やかな音楽を好むフランシスコなら、バトルなんて野蛮なことは言いませんよねぇ。
…と思いきや!
Well, if a musical duel is what you want, Isabel, then a duel you’ll get.
アバローのプリンセス エレナ シーズン1第4話 若返りの泉 00:07:09~
イザベルが私と歌の決闘をしたいと言うのなら喜んで受けて立とう。
いや、あなたもやる気満々じゃないですか!!!www
しかし、イザベルとの違いは、〝戦い〟〝対決〟にあたる部分でどのような英単語を使っているか、というところ。
〝バースデーソングバトル〟というフレーズからもわかるように、イザベルは battle という単語を使っていましたね。
battle … /bætl/ 【名詞】①戦闘、戦い、闘争 ②闘争、競争、いさかい、対立
①も②も同じ意味に見えますが、辞書の例文を見比べてみると、
- は実際に武器や身体を使った戦い (大きな戦争での中の個々の戦闘、動物の縄張り争いなど)
- は比喩的な意味での戦い (〝法廷闘争〟、〝頭脳戦〟など)
という違いがあります。
今回は音楽対決の話なので、イザベルは②の意味でこの単語を使っていると考えて間違いなさそうです。
いずれにせよ〝戦い〟を表す最もポピュラーな単語ですね。
一方のおじいさまの台詞における battle に相当する単語はこちらです。
duel … /’djuːəl/ 【名詞】①決闘、果たし合い ②闘争、争い、一騎討ち、勝負
〝デュエル〟と聞くと某カードゲームの対戦を思い浮かべるかたも多いと思いますw
が、 duel という単語は元々「決闘」「果たし合い」という意味。
映画なんかでもよく見る、中世の騎士や西部のガンマンが一対一で戦うアレですね。
国語辞典によっては、「決闘」と引くと〝命を懸けて戦う〟ことが前提とされているものもありました。
こちらも battle 同様、①は実際に武器を用いる戦い、②は比喩的な意味での戦いを表しており、もちろんここでのフランシスコは②の意味で duel という単語を使っていると考えられます。
いずれにせよ battle よりも一段重いニュアンスが感じられる duel という単語。
フランシスコの高貴な言葉選びのセンスが伝わってきますね!
このあたりが長年王族としてアバロー王国を率いてきた年の功なのでしょうか。
そしてそれと同時に、わざわざこんなに重い単語を選ぶところから、彼も孫に負けず劣らず音楽対決に対してかなり乗り気なのも伝わってきますw
そういえば別のエピソードではルイーサやエレナ、エステバンが国対抗のスポーツ大会での勝利に熱意を燃やしている描写があったし…(詳しくはシーズン1第12話「オラボール」をご覧ください! こちらもオススメの回です!)
どうやらアバロー王国の王家の皆様は、みんな意外に好戦的なようですw
他にもある!フランシスコの面白英語表現
人生経験や知識量がものをいっているのか、イザベルに比べて格式ばった表現が特徴的なフランシスコおじいさま。
そんな彼の個性が伝わってくる英語表現が味わえる台詞がもうひとつ。
それはイザベルがギターディオンで自分流バースデーソングを披露した直後の台詞です。
And besides, the birthday song is supposed to be a sweet, heartfelt song, not an assault on the eardrums.
アバローのプリンセス エレナ シーズン1第4話 若返りの泉 00:06:41~
いいかね、誕生日に歌う歌は甘く心のこもったものでなければならない。耳が痛くなりそうな歌はよくないんだ。
かなり長い台詞で気になる単語もたくさんあるのですが、今回私が注目したいのは、日本語でいうところの「耳が痛くなりそうな歌」の部分です。
その部分にあたる英語は an assault on the eardrums となっています。
見慣れない単語が多いと思うので順番に見ていきましょう。
assault … /ə’sɔːlt/ 【名詞】〔人に対する〕暴行
eardrum … /’ɪərdrʌm/ 【名詞】鼓膜
直訳すると〝鼓膜に対する暴力〟という感じになります。
いやまあ、大きな音に対して〝鼓膜が破れそう〟という言い回しをすることは日本語でもありますし、確かにイザベルの演奏は賑やかだけど…
〝暴力〟はさすがに大袈裟すぎませんか!?w
ここからも、フランシスコには、王族としての威厳が感じられる、そしてそれが一周回ってユーモラスにも聞こえる、個性的な言い回しをする傾向がありそうだと伝わってくるかと思います。
癖のないカジュアルな言い回しをするイザベルとは対照的ですよね。
そして、だからこそ、フランシスコの台詞は初めて知る英単語や英語表現の宝庫!
だって普段の生活で、
〝鼓膜〟って英語でなんて言うんだろう?
と考えること、あまりありませんもんねw
いつか「アバローのプリンセス エレナ」の他のエピソードを教材に英語を学ぶときも、彼の台詞にはぜひぜひ注目したいと思います!
【おまけ】イザベルに学ぶ by の意外な使い方
フランシスコの台詞は新しい英単語との格好の出会いの場だと紹介しましたが、だからといって、イザベルの台詞からは学びがないのかと言われると、答えは明白にNo!
今回私が新たな発見があってなるほど~と思ったのはこちらの台詞。
ルイーサおばあさまからフランシスコとの音楽対決を提案されたすぐあとの台詞です。
Okay by me.
アバローのプリンセス エレナ シーズン1第4話 若返りの泉 00:07:08~
私はいいよ。
一見何の変哲もない台詞に見えますが、私が気になったのは by の部分です。
前置詞の by には結構いろんな意味があって、学校の授業でいろんな訳し方を暗記した記憶があるかたも多いはず。
たとえば…
- 位置・場所を表す by (by my house で〝私の家のそばに〟)
- 動作の主を表す by (a novel written by him で〝彼によって書かれた小説〟)
- タイムリミットを表す by (by three o’clock で〝3時までに〟)
…といったあたりの訳し方がよく登場するかと思います。
しかし、今回イザベルが使っている by は、ここまでに挙げた訳し方には当てはまりそうにありません。
他にしっくりくる by の用法はないものかと、辞書の説明をどんどん読み進めていくと…
『ジーニアス英和辞典』での by の11番目(!)の意味として、こんな記述を発見しました!
by … /baɪ/ 【前置詞】⑪[関連]…に関しては、…は
おおっ、これだったら
(おじいさまがどう思うかはわからないけど)
私に関しては、その案でオッケーだよ^^
…と、ばっちり意味が通りますね!
英語の文章に触れていると当たり前のように登場する前置詞ですが、その訳し方はシチュエーションによって本当に様々だと、この台詞を通じて改めて感じました。
前置詞って奥が深いですね!
【まとめ】英単語からにじみ出る個性を味わおう
最後に今回の記事の内容をおさらいしましょう♪
今回の記事ではイザベルとフランシスコの台詞を比較して、そこに使われている英単語からそれぞれのキャラクターの口調の傾向を考察してみました。
・同じ事柄について話していても、キャラクターによって使う英単語や表現が異なる場合があるよ!
・その単語のチョイスからにじみ出るキャラクターの個性に目を向けると、英単語の暗記も楽しくなるよ!
こういう発見を楽しみながら勉強もできてしまうのが、映像作品を通じた英語学習の素晴らしいところですよね!
特に性格や立場が正反対のキャラクター同士で比較・分析すると楽しそうだな~なんてふと思ったりしました。
たとえば『アナと雪の女王』シリーズの内向的なエルサ&外向的なアナとか、『わんわん物語』のお嬢様なレディ&野良犬のトランプとか…
わあ、ますます分析したい作品が増えてしまって、これは大変だ…!!!
みなさんもぜひお好きなディズニー作品の英語の台詞を分析して、自分なりの発見を楽しんでくださいね♡
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